ホリエモンの弁解術 -7
- 2007.05.01
- 山根治blog
第二の事実は、インチキの利益を計上するために使われた、3つのファンドが解散していることです。ライブドアに捜査の手が入る半年ほど前のことです。その間の事情について、田中慎一氏の言葉を引用いたします。
その結果、我々の要求通り、M&Aチャレンジャー、VLMA1号、VLMA2号のファンドは7月に解散され、自己株を使った錬金術は二度とできなくなったのである。宮内氏も、ついに観念したのだ。』(前掲書、P.157)
ファンドの全貌を把握した上で、インチキが二度とできないように、ファンドの解散を強く要求し、それを受けて、スキームの実行役であった宮内氏のみならず、貸し株をして中心的な役割を演じた堀江氏も了解したというのです。これこそまさに、当事者しか知り得ない典型的な秘密の暴露です。
田中会計士は事件として明らかになる半年も前に、ライブドアの監査役と一緒になって、インチキの事実を突きつけ、ファンドを解散させたと言っているのですが、私のみならず、多くの会計士は、過去のインチキ(粉飾)について何故、その時点で明らかにし、訂正有価証券報告書を提出させなかったのか、疑問に思うことでしょう。あるいは、田中会計士もまた、ライブドアの経営陣と同じように、痕跡を消してしまえば、外部にバレることはないとでも考えていたのでしょうか。
それはともかくとして、ライブドアの監査役と会計監査人(ともに公認会計士)が、インチキ・スキームの全貌を把握し、二度と“自己株を使った錬金術”ができないように、会社側にファンドの解散を要求し、現実にファンドが解散した事実は、極めて重いものがあります。
二人の会計士から、自己株を使った錬金術の事実を突きつけられ、堀江氏をはじめとするライブドアの経営者が納得した上で、インチキシステムを解消したというのです。それとも、この事実についても堀江氏は、会計士がうるさく言い立てるので、やむなくファンドの解散に踏み切ったとでも抗弁するのでしょうか。
しかし、堀江氏がどのような言い訳をしようとも、その時点で、会社の監査役と会計監査人がインチキ性を認識していた事実と、現実に3つのファンドが解散させられた事実は厳然としたものであり、動かすことはできません。
以上、
+貸し株の事実、
+ファンド解散の事実、
この2つの事実は、堀江さんがインチキスキームを知悉していたことを客観的に裏付けるものです。このように明白な事実があるにも拘らず、堀江さんがシラを切ってトボケているのは、刑事裁判のことよりも、多額の損害賠償請求がなされている民事裁判をなんとかして切り抜けようとしているからでしょうか。
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ここで一句。
(妻は夫に関しては超能力者。無駄な抵抗はあきらめることです。)
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