ゲームとしての犯罪 -22
- 2006.10.03
- 山根治blog
読者から一通のメールが届きました。その方は、エフェクター研の上場の舞台裏を間近に見ていた人で、寄せられた情報は、信憑性の高い、いわばナマの情報と考えられるものです。本名を名乗り、現在の立場を明示した上でわざわざ貴重な情報を寄せて下さったのです。仮にA氏といたします。
A氏からの情報は、著名な医学者であるB氏に関するものでした。B氏がエフェクター研の上場に深く関わっていたというのです。
B氏の名前は、この一年余りの間私が目を通したエフェクター研の届出目論見書、有価証券報告書、あるいはエフェクター研が行ったプレスリリースなどの資料の中には一切出てきません。まさに影の人物が内部告発によってあぶり出された訳で、事実とすれば(私は総合的に考えて事実であると判断いたしました)誠に由々しいことであり、驚くべきことです。
B氏、-
東京大学医学部卒。某医大教授を経て、政界に進出。B氏の経歴は華麗なものですし、その家系も名門中の名門といえるものです。文化活動にも関心が高く、幅広い人脈を持っています。
そのような、名士の典型ともいえるB氏についてA氏は、『きわめて胡散臭い』と一刀両断。医療・医薬業界では隠然たる力を持っており、政官界ににらみを利かしては、政府の予算配分とか医薬品の許認可に絡んで、役人を手先に使って裏工作をする“政商”あるいはフィクサーとして立ち回るB氏に対して、A氏はかねてから強い嫌悪感を抱いていたようです。
A氏からの内部情報は、私のもとに寄せられるメール等の中でも飛び抜けて真摯なものであり、まさにA氏の研究者としての誇りと良識が文面からにじみ出ているものでした。
実は昨年来、ライブドア絡みでエフェクター研を追跡するなかで、一つだけ腑に落ちないことがありました。いろいろと調べてみたのですが、開示された資料からはどうにも判らない。エフェクター研の上場に絡んだ、いわば“ブラック・ボックス”とでも言うべきものが存在しており、私の脳裡を離れることがなかったのです。
ところがA氏からの情報に接して、私の疑念が一挙に晴れる思いに至りました。“政商”B氏がこのブラック・ボックスに関連しているのではないか、仮に関連しているとすれば、私の疑念とA氏からの情報とがピッタリと符合し、疑念が解消するからです。
上場企業としての実体がないに等しいエフェクター研ですが、上場時に提出された「新株式発行並びに株式売出目論見書」(平成17年2月)の「株主の状況」(P.125)を見てみますと、奇妙なことに気がつきます。ライブドア事件でも何かと話題になった「投資事業組合」がやたらと目につくのです。投資事業組合と言えば、匿名性を売りものにしたものですから、どのような資金が入っているのか分かりません。数えてみたところ、ナント10もありました。以下、ピックアップいたします。
***<表19>投資事業組合一覧
^^t
^cc”^No.
^cc”^名称
^cc”^株数
^^
^1.
^投資事業組合NIFニューテクノロジーファンド2000/2号
^rr”^9,900株
^^
^2.
^KSP1号投資事業組合
^rr”^3,000株
^^
^3.
^ジャイク・インキュベーション1号投資事業有限責任組合
^rr”^2,000株
^^
^4.
^三井住友海上C6号投資事業組合
^rr”^2,000株
^^
^5.
^ジャイク・バイオ壱号投資事業有限責任組合
^rr”^1,000株
^^
^6.
^投資事業組合資生堂インベストメントファンド
^rr”^1,000株
^^
^7.
^イーエル第3号投資事業組合
^rr”^1,000株
^^
^8.
^大分ブイシーサクセスファンド1号投資事業有限責任組合
^rr”^400株
^^
^9.
^大分ブイシーサクセスファンド2号投資事業有限責任組合
^rr”^400株
^^
^10.
^イーエル第5号投資事業組合
^rr”^400株
^^
^cc”^計
^cc”^(※以上、10組合)
^rr”^21,100株
^^/
この時点で、エフェクター研の発行済株式数は88,050株ですから、これらは、その4分の1(21,100株÷88,050株=0.25)を占めており、中でも9,900株(11.2%)所有している1.の投資事業組合NIFニューテクノロジーファンド2000/2号は、群を抜いており、しかも上場時の筆頭株主でもあるのです。
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(三百代言(さんびゃくだいげん)と呼ばれて蔑視されていた時代もあったような。今でも?)
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