ゲームとしての犯罪 -18
- 2006.09.05
- 山根治blog
さて、ライブドア事件でババをつかまされた、20万人余りの人達の投資総額(買いコスト)は、3,792億円でした(表8)。
このうち、浪費されてしまったものが171億円、ゲームに呼び込んだ一般投資家の利益として彼らのフトコロに入ったのが1,396億円でしたので、残りの2,225億円だけが投資金をいく分でも回収するてだてとなるものです(表17)。
もちろん、この2,225億円の全てが回収できるわけではありません。
ここでは話を分かりやすくするために、現実に回収できるかどうかを考えるのではなく、こうあるべきではないかという視点から、損害金の推計をすることにいたします。
まず、会社にとどまっている純資産の1,192億円(表12)は全て、堀江貴文氏と(株)フジテレビジョン以外の一般株主に返還すべきものでしょう。
次に、会社外に流出した1,033億円(表13)のうち、少なくとも首謀者である堀江氏に流れた266億円(表13)も同様に返還すべき筋合のものでしょう。
更に、(株)フジテレビジョンが損害金として主張している345億円については、インチキゲームの当事者なのですから(「疑惑のフジテレビ」で詳述)、そのまま20万人の被害者に返すのが筋でしょう。
このように考えてきますと、
***<表18>
^^t
^cc”^項目
^cc” colspan=”2″^金額
^^
^1.投資総額(買いコスト)
^
^rr”^3,792億円
^^
^2.補填額
^
^
^^
^ 1.会社財産
^rr”^1,192億円
^
^^
^ 2.堀江貴文氏
^rr”^266億円
^
^^
^ 3.フジテレビ
^rr”^345億円
^
^^
^cc”^小計
^
^rr”^1,803億円
^^
^3.被害額(1.-2.)
^
^rr”^1.989億円
^^/
と、概ね2,000億円という金額が出てきます。
私がかつて、この史上最大級の“超大型詐欺事件”の被害額は、2,000億円前後になるのではないかと指摘したのは、概ね以上のようなことを考えていたからでした(「疑惑のフジテレビ-2」「ゲームとしての犯罪-3<付記>」)。
ただ、現実問題として考えますと、被害者が実際に回収できる金額は<表18>の1,803億円よりははるかに少ないものとなるでしょう。実際には、半分以下の金額である800億円が返ってくるくらいのところかもしれません。
そうしますと、投資総額(買いコスト)3,792億円のうち、3,000億円ほどが返ってこないことになり、そのまま被害額になると言えるでしょう。
それにしても、これまで各種メディアを通して、経済の専門家と称する人達が、損害額は7,000億円だとか6,000億円だとか無責任な発言を繰り返していたのは明らかに間違っています。投資総額(買いコスト)そのものが3,792億円なのですから、損害額がこの金額以上にはなりようがないのです。
7,000億円にはいかないまでも、2,000億円とか3,000億円という損害額は半端なものではありません。20万人前後の人達が、このように巨額な損害を被った事実について、インチキゲームの片棒をかついだと言われても仕方のないフジテレビとか自由民主党は、一体どのように考えているのでしょうか。それぞれに対する責任論がすっかり鳴りをひそめてしまった現在、改めて問い直されるべきではないでしょうか。
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(何でもありの無礼講、誰がするのか後始末。)
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