ゲームとしての犯罪 -9

前回前々回は、ストックオプションによって少なからぬお金を手にしたライブドア関係者として、中村長也氏と故野口英昭氏の2人を取り上げたのですが、もう一人、堀江貴文氏と文字通り二人三脚のような形でインチキ上場の絵図を描き上場以来の全ての期にわたって、決算のゴマカシをするのに中心的役割を果したと考えられる人物がいます。宮内亮治氏です。



宮内氏のストックオプションは、中村長也氏、故野口英昭氏と同じ条件のものが20株。この他にこの人は、上場前に一株5万円の株式を8株仕込んでおり(“ホリエモンの錬金術-7”参照のこと)、この8株は、平成12年1月12日の1:12の株式分割によって12倍の96株となっています(“ホリエモンの錬金術-8”参照のこと)。

宮内氏の上場前の持株とストックオプションをまとめてみますと、
+持株 96株 : 単価 4,166円
+ストックオプション 20株 : 単価 250,000円
となります。
宮内氏も、中村、故野口両氏と同様の時期に、持株とストックオプションを全て、キャッシュにしているものとしますと(一株2,500円で売却と仮定)、
^^t
^cc”^当初
^cc”^分割換算
^cc”^@コスト
^cc”^コスト
^cc”^売却額
^cc”^利益
^^
^rr”^96株
^rr”^288,000株
^rr”^1.3円
^rr”^400千円
^rr”^720,000千円
^rr”^719,600千円
^^
^rr”^20株
^rr”^60,000株
^rr”^84円
^rr”^5,000千円
^rr”^150,000千円
^rr”^145,000千円
^^
^rr” colspan=”5″^計
^rr”^864,600千円
^^/
となります。

私は、宮内氏、中村氏、故野口氏ともに、100分割後と、最後の10分割までの間に株式を処分したものと仮定し、しかも1株2,500円前後という中村氏の言葉をそのまま正しいものとして計算してみたのですが、実際には、この三人共最後の10分割後に、しかも1株500円前後で売却したのではないかと考えています。仮にそうしますと、それぞれが手にしたアブク銭は2倍になり、
-宮内氏 17億円
-中村氏  2億円
-故野口氏 4億円
ということになります。これらは言うまでもなく、ライブドア株式で被害を被った人達を犠牲にして手に入れたもので、とうてい正当なものということはできません。
ちなみに、宮内氏の96株(もとは、8株で取得価額は40万円)は、このとき分割換算で288万株(96株×3×10×100×10)となっており、一株のコストはナント0.13円(40万円÷288万株)、これを一株500円で売却したというわけです。3,846倍!!
尚、平成17年6月27日に、堀江貴文氏が持株4千万株を、一株357.2円で市場外取引によって売却し、142億円余りを手にしている(平成17年7月4日付、大量保有・変更報告書)のですが、この4千万株はもとをたどれば、一株5万円の株式111株に相当するものです(40,000千株÷360,000分割)。
従って一株当りのコストは、宮内氏の場合と同様に、0.13円(5,550千円÷40,000千株)ですので、これを357.2円で売り抜けていることになります。実に、2,747倍!!
堀江氏が手にした142億円というキャッシュは、前の3人と同様に、詐欺的被害に会った人達からかすめ取ったものであるといえるもので、どのような理屈をつけようとも、まっとうなお金であると強弁することは難しいでしょう。

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“アマ中のアマが聞いても通らない” -上尾市、川原田一郎。

 

(朝日新聞:平成18年6月8日号より)

(プロ中のプロと豪語した村上世彰氏。なんだかおかしなことを言う男だ、と思っていたのは私だけではないようで。総会屋レベルまで自分を貶めると、ほとんどの会社の有報はそれこそ宝の山。恥も外聞も投げ捨てて金儲けに徹する特殊な人はともかくとして、私を含めてほとんどの日本人は、会社のアラ捜しをして金を儲けることなどしないだけのことです。)

 

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