ゲームとしての犯罪 -6
- 2006.06.06
- 山根治blog
前回示した<表3>は、それぞれの時点における株式数(付与)と単価をそのまま記したものです。このままでは、ライブドアが関係者に与えたストック・オプションの実態が見えてきません。
何故か。
違法なのか適法なのかはともかくとして、ライブドアは6年前の上場以来、基準日(平成18年1月16日)までに、4回も立て続けに株式分割を行っており、ストック・オプションを含めた株式発行の実態が極めて分りにくくなっているからです。
-第1回目 平成13年7月23日 3分割
-第2回目 平成15年8月20日 10分割
-第3回目 平成16年2月20日 100分割
-第4回目 平成16年8月20日 10分割
の4回にわたる株式の分割は、いわば忍者が投げつける“目くらまし”のようなものです。
5回にわたって与えられたストック・オプションの実態を明らかにするためには、このような“目くらまし”を取り外すことが必要になってきます。つまり、基準日に視点を置いてストック・オプションの実態に迫っていくためには、株式数と単価とを4回の株式分割に即して修正する必要があるのです。
そこで<表3>を基準日(平成18年1月16日)に合わせて修正いたしますと、次のような結果になります。
***<表4>ストック・オプション(株式分割修正)
^^t
^cc”^回
^cc”^付与期日
^cc”^修正株数(株)
^cc”^修正単価(円)
^cc”^摘要
^^
^No.1
^平成12年1月19日(上場前)
^rr”^14,910,000
^rr”^8
^注*1
^^
^No.2
^平成13年7月19日
^rr”^4,540,000
^rr”^57
^注*2
^^
^No.3
^平成14年12月20日
^rr”^600,000
^rr”^247
^注*3
^^
^No.4
^平成15年12月19日
^rr”^5,000,000
^rr”^451
^注*4
^^
^No.5
^平成16年12月26日
^rr”^6,000,000
^rr”^583
^注*4
^^/
-注*1 … 株数は3万倍、単価は3万分の1
-注*2 … 株数は1万倍、単価は1万分の1
-注*3 … 株数は1000倍、単価は1000分の1
-注*4 … 株数、単価ともそのまま
<表4>は、ライブドアの株式を破格に安い価格で買うことができる権利を、基準日に引き直して示したものですので、更に一歩進んで、その権利が行使されて、どれだけの株式が購入されたか(会社側から言えば、どれだけ株式の発行がされたか)について、まとめてみますと次のようになります。これは、第10期有価証券報告書の「発行済株式総数、資本金等の推移」とその注記から数字を拾い集めて、株式分割の修正を施した上で集計したものです。
***<表5>ストック・オプションの行使
^^t
^cc”^回
^cc”^付与期日
^cc”^付与株数(株)
^cc”^行使株数(株)
^cc”^未行使株数(株)
^cc”^行使率
^^
^No.1
^平成12年1月19日(上場前)
^rr”^14,910,000
^rr”^12,844,400
^rr”^2,065,600
^rr”^86.1%
^^
^No.2
^平成13年7月19日
^rr”^4,540,000
^rr”^2,467,480
^rr”^2,072,520
^rr”^54.3%
^^
^No.3
^平成14年12月20日
^rr”^600,000
^rr”^165,000
^rr”^435,000
^rr”^27.5%
^^
^No.4
^平成15年12月19日
^rr”^5,000,000
^rr”^56,546
^rr”^4,943,454
^rr”^1.1%
^^
^No.5
^平成16年12月26日
^rr”^6,000,000
^rr”^0
^rr”^6,000,000
^rr”^0%
^^/
尚、ストック・オプションの行使期間は、それぞれ、
-No.1 … 平成14年 4月 1日~同16年 3月31日
-No.2 … 平成15年 7月20日~同22年 7月19日
-No.3 … 平成16年12月21日~同18年12月20日
-No.4 … 平成17年12月20日~同19年12月29日
-No.5 … 平成18年12月27日~同20年12月26日
となっており、No.1については行使期間が既に切れていますが、その他のNo.2からNo.5までの分は、現時点でも生きているものです。
ここまできますと、ストック・オプションの実態が相当分り易くなってきたはずです。次回以降、更に詳しく掘り下げていこうと思っていますので、皆さんもご一緒に考えていきましょう。
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(オトコのつぶやきの変遷。
若年 … 「たかがオンナ」
中年 … 「されどオンナ」
老年 … 「なるほどオンナ」
右脳と左脳をつないでいる脳梁(のうりょう)が、オトコよりオンナの方が太いという。オトコが考えも及ばないことを一瞬にして考え、オトコがこっそり隠していることでも一瞬にして見破る特殊な能力のヒミツはどうやら太い脳梁にあるらしい。還暦を過ぎて実感するこのごろ。)
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