悪徳会計屋の経済事件ノートvol.22

2006年04月28日 第22号 発行部数:565部

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悪徳会計屋の経済事件ノート

なぜ上場会社社長は国税局ロビーで壮絶なる自殺を選んだのか。
国税局OB税理士が納税者を食いものにする手口とは。
税務署とマスコミから悪徳会計士の烙印を押された
会計のプロが税金法律金融事件の深層に迫る。

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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
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●物言わぬ税理士
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(序)

納税は国民の基本的な義務である。しかし、一口に納税といって
も、立場によっては全く異なったものとなる。税金を取る側(国、
税務署)は、できるだけ多く取ろうとし、税金を払う側(国民、納
税者)は、できるだけ少なく払おうと考える。このような両者のせ
めぎ合いは今に始まったことではない。戦前にも存在したし、江戸
時代、あるいはそれ以前にも存在した。

現代の日本は、主権在民を基本とする民主主義国家である。税に
関しても日本国憲法は、国民に対して、納税の義務を定めていると
同時に、国に対しては法律の規定によらなければ勝手に国民から税
金を取り立ててはならないことを定めている。つまり、各種の税法
は、国民に対して納税の義務を具体的に規定しているとともに、一
方で、国家が恣意的に税金の徴収をすることができないように規定
している。
しかし、現実の税務行政においては、前者の国民の義務の側面が
専ら強調されるあまり、後者の国民の権利の側面がないがしろにさ
れることが多い。現在施行されている各種の税法は、条文が多岐に
わたり、煩瑣をきわめている。条文の内容も難解なものであり、と
ても一般の納税者の手に負えるものではない。
そこでいきおい、税の専門家とされている税理士に税金の処理を
依頼することになる。納税者から依頼を受けた税理士は、果してそ
の依頼にこたえるに十分な仕事をしているであろうか。一部の例外
を除いて、納税者の信頼に満足にはこたえていない、といったとこ
ろが実情ではないか。

納税者の代理人である税理士の多くが、税理士の本分を忘れて税
務当局の言うがままになっている。大半の税理士が税務署のいわば
下請けのような存在に堕し、納税者にかわって言うべきことを言わ
ないのである。何者かにおびえ、納税者の権利を守るべく、法に認
められた当然の主張さえしないのである。まさに、「物言わぬ税理
士」だ。税務に関する多くの事件の背景には、このような「物言わ
ぬ税理士」と、権力をカサにきて横暴をきわめる税務署員の歪んだ
思い上がりとがあるようである。
国民の正当な権利が、税務の現場で日々蹂躙されるのを手を拱
(こまね)いていることはない。税理士が税務署に対して言うべき
ことを言ってくれないのであれば、納税者自らが物を言う他はない。
権利の上に眠る者を法は決して保護してはくれないのだから。
納税者として、税務署に対してどのようなことが、当然の権利と
して堂々と主張できるのか、実務の現場から具体的に考えていくこ
とにする。

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事件の深層に迫る。

 

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