115 被疑者

****(2) 被疑者 ― 犯罪の疑いを持たれている者 ―

一、 松江地方検察庁が、いつごろから私を被疑者として内偵していたのかは判らない。

二、 ただ、平成7年の暮れから同8年の初めにかけて、松江地検の事務官が、島根県庁に赴き、組合に支払った移転補償金について確認を行なった事実があるから、松江地検は、少なくともそれ以前には、私を被疑者としてマークしていたのであろう。

三、 また、私を逮捕した後、つきっきりで取調べを行った広島地方検察庁の中島行博検事は、逮捕の3日前に松江に赴いたと私に語っている。

四、 事件に関与した検察官で、証人として法廷に立った永瀬昭副検事は、平成9年1月14日の第9回公判廷において、中村寿夫主任弁護人の尋問に答えて、主任検事の藤田義清三席検事から、本件の捜査の関与を命じられたのは、平成8年の1月中旬頃であると証言している。

五、 更に、私の手許の記録として、松江地検が私を被疑者として扱った最も古いものは、飲食を伴う打ち合せに関する松江地検が作成した支出回議書である。
それによれば、私を逮捕する3日前平成8年1月23日、松江地検は、私の事件に関する合同捜査会議を開き、料理を取り寄せ、酒盛りをしている。
7,000円のオードブル7皿、5,000円の寿司の盛り合わせ6皿、1,500円の寿司4個、ビール大瓶35本などで、合計98,020円の支出が公費でなされている。
これは、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第14条第2項の規定にもとづき開示を請求し、松江地検の平成7年度と同8年度の小切手振出済通知書、支出回議書、支出依頼書、請求書(飲食を伴う打ち合せに関するもののみ)の全てを取り寄せた結果、判明したものだ。

六、 以上により、私のタイトルは、平成7年の終り頃に、国税犯則取締法上の「犯則嫌疑者」から、刑事訴訟法上の「被疑者」へと移行した。

 

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