冤罪を創る人々vol.68

2005年06月28日 第68号 発行部数:391部

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「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-

日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。
マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。
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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
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●(第五章)勾留の日々

「(1) 刑務官」より続く
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(2) 衛生夫

一、 拘置監を担当する衛生夫は二人であった。出所間近の受刑者だっ
たのであろう。二人共、彼らがセンセイと呼ぶ担当看守の手足となっ
てコマネズミのように立ち働いていた。
配食、空下げ、洗濯物の収集と返還、自弁品の配布、その他拘置
監内の雑用全てを、看守の監督のもとに行っていた。

二、 私語は禁じられていたため、彼らと話をすることはなかった。
ただ、私がときおり、「ご苦労さま」と小声をかけると、白い歯を
出してニッと笑った。
一度だけ看守が持ち場を離れ、若い衛生夫と二人だけになったこ
とがあった。
私は、小声で「出所はいつ?」と問いかけてみた。「あと半年」
という答えが返ってきた。
私は、素早く紙切れに私の名前と電話番号をメモして手渡し、
「出たら一度尋ねておいでよ」と話したところ、にっこりと笑い、
うなずいた。
あれから8年が経とうとしている。「うえの」と名乗った若い衛
生夫は、いまだ私の前に現れていない。

(3) 被収容者

一、 松江刑務所には、受刑者及び未決囚あわせて400人位が収容
されていた。
私は未決囚であり、独房に入れられていたため、他の被収容者と
顔を合わせたり、話をしたりすることはなかった。取調べとか面会
のために独房から連れ出され、廊下を歩いているとき、他の被収容
者とすれ違うことがあったが、歩行を停止した上に壁側に向かわせ
られた。お互いに顔を合わせないようにするためである。

二、 顔を合わせたり、話しをしたりすることが禁じられていると、
どうしても耳が聡くなるようである。耳から音として入ってきた情
報をもとに、何が起こっているのか推測するのが楽しみとなった。
音だけを頼りに三次元の映像を組み立てるのである。

三、 蒸し暑い夏の昼下がりであった。拘置監に収容されていた東南
アジア系と思われる二人が、独居房越しに大きな声で会話をしてい
た。中国語でもなければ朝鮮語でもない。 私にはどこの国の言葉
かさえ分からなかった。
案の定、看守の大声が拘置監に響きわたった。

「こんらあ!オマエら何しゃべってるんだ!ここはシャバじゃないん
だ。しゃべってはいかんと言ってるだろうが。バカヤロー!」

二人の話し声はピタッとやんだ。3分位経ったであろうか、意味
不明の言語による会話が再開された。再度看守のどなり声が発せら
れるのは時間の問題であった。私の楽しみのカウント・ダウンが始
まった。
懲罰の危険性を知りながら、なお話を交わさなければならなかっ
た二人の異国の人は、その後どうしているのであろうか。

四、 平成8年7月18日のことであった。
戸外運動場で汗を流していると、突然刑務所の中庭に大声が鳴り
響いた。
ジョッキングをしながら、何が起ったのだろうと耳を傾けたとこ
ろ、運動後の拭身についてもめているようであった。

「拭身中止!終わりだと言っているのに分らんのか。」
「・・・。」
「なに!まだ洗面器に一杯しか水を使っていないだと。ヤッカマシイ!
もう1分を過ぎたんだ。やめないか。」
「・・・。」
「つべこべ抜かすんじゃねえ!コノヤロー、言い返しやがったな。反
抗だ、よーし。」

この段階で更に3人ほどの看守が新たに加わり、口々に大声でど
なりまくった。

「ここをどこだと思ってんだ。シャバじゃねえんだ。反抗したらどん
なことになるか、分かってんだろうが。連行だ!連れていって締め
あげよう。クセになる。」
「・・・。」
「つべこべ抜かすな。バカヤロー、懲罰だ。」

(続きはWebサイトにて)
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●山根治blog (※山根治が日々考えること)
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「ホリエモンの錬金術 -15」より続く
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・ホリエモンの錬金術 -16

ホリエモンの究極のソロバン勘定を明らかにするために、ライブ
ドアの会社の価値を計算し、彼の所有する株式の価値がどのように
変化していったのか考えてみます。
ここでいう会社の価値とは、昨今のマスコミで盛んに飛び交って
いる株式の時価総額である「企業価値」のことではありません。
まともな上場会社の場合には、おおむね「企業価値=株価×発行
済株式数」と考えても差し支えないのですが、ライブドアについて
は、株価そのものが企業実体を反映していない架空のものからスター
トしていますので、妥当ではないのです。
しかも、上場以来まともな利益を計上していませんし、株価の形
成も数々の怪しげな状況の下でなされていますので、この会社の価
値については、清算価額をベースに考えることにします。
つまり、ライブドアが解散した場合に会社にどれだけの資産が残
るのか、この点にスポットを当ててみます。

これまで述べてきましたように、ライブドアが公表している決算
書は相当以上にいいかげんなもので、清算価額を算定するためには
かなりの修正をする必要があります。
しかし、ここでは便宜上、ライブドアの公表数字をそのまま用い
ることにいたします。ホリエモンのソロバン勘定のカラクリを大筋
において明らかにするには、それで十分だからです。
次に示す表1は、ホリエモンがマジックを始めた平成11年8月
4日以降の、会社の純資産(これを清算価額と見なします)と、株
式数及び一株当り純資産の推移です。

(表1) ライブドアの「清算価額(企業価値)」の推移
http://consul.mz-style.com/item/324#a

表2は、会社のPBR(株価純資産倍率)の推移です。

(表2) ライブドアのPBR(株価純資産倍率)の推移
http://consul.mz-style.com/item/324#b

表2は、会社のPBRが上場前の0.6倍に始まり、上場時のト
リッキーな公募価格600万円で、ピークの874.4倍にまで跳
ね上がり、上場後第一回目の公募増資時は、2.4倍と急落し、第
二回目の公募増資時には、再び75.9倍と跳ね上がり、このたび
のMSCBに基づく増資とフジテレビの増資時には、再度、1.8
倍、1.9倍と急落していることを示しています。
このPBRの、通常では想定しがたい極端な乱高下は、上場時の
架空ともいうべき600万円の公募価格と上場後の人為的な株価維
持によるものです。
現在は、PBR1.9倍と形の上では全上場会社並になってはい
ますが、純資産の中味たるや、会社が自ら稼いだ利益金(内部留保)
はゼロもしくはマイナスと考えられますので、ほとんど全てが株主
による払込金なのです。上場会社としては極めて珍しいケースなの
でしょうね。

次に、それぞれの時点における、堀江さんの持株数とその清算価
額との推移を示します。-(表3)

(表3) ホリエモンの持株の「清算価額(純資産)」の推移
http://consul.mz-style.com/item/324#c

表3は、ホリエモンの持株の価値が、増資のたびにどんどん大き
くなっていくことを示しています。スタート時点(平成11年8月
4日)のホリエモンの持株の価値が32,763千円であったもの
が、その後の6回にわたる増資(MSCBを含む)の結果、
36,902,825千円へと、実に1,126倍にもなっていま
す。
つまり、ホリエモンの持株の価値の増大は、もっぱら都合6回の
増資に応じた投資家の資金によるものです。いわば平均原価法によ
る富の移転とでも言えるもので、これこそ、ホリエモン錬金術のメ
カニズムを浮き彫りにするものです。トリックの種明しと言ってい
いでしょう。-(表4)

(表4) 平均原価法による富の移転
http://consul.mz-style.com/item/324#d

表4は、次のことを示しています。スタート時点の株数は800
株で、その後6回にわたって増資がなされた結果、払込の伴なう発
行済株式数は2,700株(スタート時点換算)となります。
尚、現時点の発行済株式総数は、1,049,062,809株
ですので、これをスタート時点の株式数に換算してみますと、

2,914株(=1,049,062,809株÷360,000)

となり、表4の2,700株と714株の差異が生じます。この
714株は、表1に掲げた2.~7.の増資以外のもので、払込の
伴わない株式の発行(株式の交換)、および、通常よりも著しく有
利な条件による株式の発行(ストックオプション)によるものです。
これらのものは、ホリエモンの株の秘密を解明するためには、枝
葉のものですので、ここでは捨象します。
つまり、この5年余りの間に増資を重ねて、1,709億円の資
金を資本として会社に取り込み、増資のたびに、ホリエモンの一株
当りの投下資金50千円の評価額は、どんどん膨れ上がる仕組になっ
ており、現時点では、当初5万円の1,266倍の63,327千
円に達しているのです。

(続きはWebサイトにて)
http://consul.mz-style.com/item/324

 

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