冤罪を創る人々vol.67

2005年06月21日 第67号 発行部数:390部

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「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-

日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。
マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。
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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
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●(第五章)勾留の日々

「8.風呂と運動」より続く
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9.人間模様

(1) 刑務官

一、 私が291日の勾留中に接した刑務官は、20人位であろうか。
担当看守、主任看守、処遇首席、総務課長、処遇部長。その他、
面会、風呂、運動、医務及び裁判所への引率役の看守、面会時立会
役の看守、夜(21時から7時まで)の巡回見廻り役の看守。捜検
の看守。

二、 一番多く接したのは、担当看守である。三十代の生まじめな人
物で、背が低く、被帽の下は若ハゲであった。私を含めて拘置監の
35人前後の未決囚の世話をしていた。フトンのたたみ方、飯の食
べ方、掃除の仕方、点検の受け方、午睡の仕方等、日常生活の全般
にわたって細かい指示を出し、一寸でも違えると厳しく私を叱責し
た。
主任とか首席の代弁者となって、度々私を面罵した。
平成8年10月2日の夕方の点検時に、担当看取は、私を叱責し、
次のように指導した、 ―

「最近、点検を受けるときの姿勢が悪い。きちんとするように。まず、
正座又は安座をして、背スジをピンと伸ばすこと。5本の指を伸ば
してハの字にして、股のつけ根に親指をつけて、ももの上に置くこ
と。それに、全員の点検が終了し、“点検オワリ”の号令があるま
でその姿勢を崩さないこと。」

あるいは、夏の暑い日に、ウチワの使用にめぐって、 ―
「点検中、トイレ使用中及び食事中にウチワを使ってはいけない。今
後キチンと守るように。」

あるいは、次のように注意されたこともあった。

1.ウチワをまっすぐにおくこと(フトンの上においておいたウチワ
が少しゆがんでいたことに対して)
2.タオルのスミを揃えて干しておくこと(タオルがゆがんで干して
あったことに対して)
3.新聞は、読み終えたらキチンとしまうこと(新聞を読んでたたみ、
板の間と畳の間に置いて本を読んでいたのに対して)

しかし、彼は、私を侮辱したり、蔑んだりしたことは一度もなかっ
た。一寸した言葉の中に優しい心遣いを示してくれた。

三、 私と同年輩であった主任看守は、時折私につらくあたったが、
あるとき私に訓戒処分をするために管理棟に連れ出し、面談したこ
とがあった。
そのとき、ポツリと漏らした言葉が印象的であった。

「ここにやってくるのは、ほとんどが前科者で、刑務所慣れしている
連中だ。懲役太郎と言っているんですがね。我々が甘い顔をすると
すぐ図に乗ってつけ上がるので、秩序維持の為にも、キツクあたら
なければならないんですよ。あなたにはキツイかもしれないが、特
別扱いする訳にはいかないので、辛抱して下さい。」

四、 処遇首席も主任と同様、私と同年輩の男であった。
この人物と接したのは、5~6回であったろうか。そのたびに、
私の名前を呼び捨てにし、侮辱し、蔑んだ。
余りにも、山根、山根と連発するので、私は、「何故、私の名前
を呼び捨てにするのか」と尋ねたところ、次のような言葉が返って
きた。

「バカなことを言うんじゃない。オマエは被告人だろうが。被告人を
オレが呼び捨てにして、何が悪いんだ。オレは刑務所につとめて30
年程になるが、被告人をさん付けで呼んだことは一度もない。もし、
オレの部下がオマエら被告人に対して、名前を呼び捨てにせず、て
いねいな言葉でも使おうものなら、直ちに厳重に注意して改めさせ
る。被告人のくせに何を言っているんだ、フン。」

彼は怒りのために赤黒くなった顔で私をにらみつけ、大声でどな
りつけた。
保釈されて一年ほど経ったとき、この人物の訃報が地元紙に載っ
た。受刑者あるいは未決囚に対して年中怒っていたため、あるいは
体内バランスが崩れ、寿命を縮めたのかもしれない。

五、 この他に、私を小馬鹿にしたり、蔑んだりした看守が2人いた。
一人は20才台の若い看守であり、一人は40才台の看守であった。
二人共、人生に疲れており、仕方なしに仕事をしているようであっ
た。この二人にとって仕事とは何であり、生き甲斐とは何であった
ろうか。

六、 温かい気くばりをしてくれる看守が3人いた。
中でも、私より少し年輩の看守は、私と接するたびに、さりげな
く、気づかいの言葉をかけてくれた。房内の蛍光灯の不具合に気が
つき、「チカチカするようだね。すぐにとりかえてあげよう。」と
言って、直ちに新品と交換してくれたこともあった。
私は、この看守の後姿に、ひそかに両手を合わせた。

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●山根治blog (※山根治が日々考えること)
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「ホリエモンの錬金術 -14」より続く
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・ホリエモンの錬金術 -15

作家の安部譲二さんによれば、犯罪者が練り上げる犯罪プランの
ことを絵図(えず)といい、そのプランナーのことを絵図師(えず
し)というそうです。
絵図師ホリエモンが描いた、あるいは現在描いている絵図とはど
んなものでしょうか。
私は、これまで絵図のスタート(インチキ上場)と途中のプロセ
ス(増資による資金集め、粉飾決算、株式分割)について詳しく述
べてきました。
では、ホリエモンの絵図の終着とは何でしょうか。ホリエモンの
好きな「想定内」という言葉を使えば、絵図が想定内においている
終着点とは何でしょうか。

尚、私はこれまで、何の説明もつけずに「ホリエモン」という言
葉を使ってきました。ホリえもんというのは、堀江さんの少年の頃
のニックネームだそうですが、おそらくマンガのドラえもんからき
たものでしょう。
ドラえもんは、ドラ猫のロボットですから、ドラ+右衛門といっ
たところです。
しかし、私が使ってきたホリエモンは、これとは全く異なり、堀
江+者(もん)を念頭に置いています。
ヤクザ者(もん)とか、半端者(はんぱもん)などに使われる者
(もん)のことです。
ドラえもん(ドラ右衛門)とか、1000年も続いた悪の名門猫
じゃらし家の当主、猫じゃらし左衛門丞(さえもんのじょう)のよ
うな愛すべきキャラクターとは似て非なるものであり、敢えてホリ
エモン(ホリえもんではなく)と言ってきたのです。決して愛称と
して使っているのではありません。

“ライブドアが、堀江貴文社長の愛称「ホリエモン」の商標登録を
特許庁に出願した”(日本経済新聞、平成17年6月2日付)そう
です。

“昨年のプロ野球への新規参入騒動や、今年2~4月のニッポン放
送株争奪戦で高い知名度を得ただけに、同社は「事業で最大限活用
したい」としている”(日本経済新聞、同上)

とのこと。
愛称ではなく、堀江+者(もん)と冷ややかに考えている私のよ
うな者がいることもお忘れなく。

閑話休題―。
東京大学に入学したことによって天下が自分の思い通りになると
錯覚している天才的絵図師の究極の絵図とは何か。
世界一の金持ちとか、宇宙計画といったゆめのようなことをぶち
あげ、ITとメディアと金融のコングロマリットを創り上げるなど
というのは、勿論絵空事にすぎません。
それは、エネルギーの補給をせずに永久に動き続けるモーターだ
とか、不老不死の薬だとか、あるいは相当以上に顔の造りがよくな
い女性でも絶世の美女にヘンシンさせる化粧水とかいった類のもの
で、大道香具師(やし)の口上と何ら変るものではありません。
スタート時点で詐欺的な行為を行なって創り上げた組織は、砂上
の楼閣に等しく、いくら規模が大きくなろうともホンモノになるこ
とはないでしょう。
このことはホリエモン自ら、十分に認識しているはずです。

では、堀江者(ホリエモン)が想定内においている絵図とは何か、
また彼が考えている落としどころは何でしょうか。
それはどのような手段を使ってでも株価をつり上げ続け、時価発
行増資を繰り返して会社の中に株主からの資金をどんどん取り込む
ことです。
勿論違法であろうとお構いなしです。ともかく、資本としてどん
どん会社にお金を取り込めばいいのです。
時価発行増資を繰り返していけばいくほど、ホリエモンの絵図は
完成に近づくしくみになっています。何か派手な仕事をしているよ
うに見せかけて話題をつくり、つり上げた株価のもとで時価発行増
資を繰り返すだけでいいのです。

このたびのドタバタ劇Much ado about empty moneyの発端となっ
たリーマン・ブラザーズからの特殊な条件のついた転換社債MSC
Bも、時価発行増資と同じようなもので、ホリエモンとしては、フ
ジ・サンケイグループとの交渉がどのように決着しようとも、800
億円のCBを発行した時点で絵図の上では十分にソロバンが合って
いたのです。基本的には勝っても負けてもどうでもよかったのです。
そのソロバン勘定とは何か。ホリエモンの持株に焦点を当てて考
えてみましょう。

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“オチは金銭(かね)議員役人ほりえもん” -横浜、トレモロ。
(毎日新聞:平成17年5月20日号より)

(カネがカタキの世の中で、お金によって返り討ち。)

 

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