B03 マッチポンプ 3

***(3)税務調査

翌日。午前10時から税務調査が開始された。会社にやって来たのは50才半ば過ぎの上席国税調査官の肩書をもつ人物であった。

社長も必ず同席するようにとの指示があったため、D社長はやむなく調査に同席し、質問に答えることになった。

Bセンセイがいてくれるから大丈夫だろう、とは思うもののやはり落ち着かない。朝、元気付けにキュッとやってきたコップ酒が効いてきた。30分余り書類をひねくっていた上席調査官は、社長だけと話をしたい、経理担当者は席を外すようにと申し入れた。

部屋の中は調査官、D社長、B税理士だけの3人となった。
調査官:「社長さん、これはどういうことでしょうかね。下請け会社からの請求書の金額に何か細工がしてあるんではないですか。例えばE塗装工業からの9月の請求額が180万円となっていますが、本当のところは150万円ではないのですか。差額の30万円はいったいどうなっているんです?」

いきなり核心に斬り込まれたD社長はすっかりあわててしまい、シドロモドロになってしまった。調査官は更に追い討ちをかけた、-
「我々の調査によると、年間約1000万円、この3年間で3000万円程の水増し経費があるようですね。リベート用の裏金をここから捻出したんだろうが、極めて悪質だ。この他にまだあるようなら、この際全部打ち明けてくれませんか。」

B税理士が話に割って入った、-
「いかがでしょう、私とゆっくり話をさせていただくわけにはいかないでしょうか。そうですか。ありがとうございます。では社長もしばらく席を外してくれませんか。」

30分が経過した。応接室から調査官と税理士とが出てきた。
「今日のところは一応ここまでにしておいて、署に帰るから、後は税理士のセンセイとよく話し合うように。」と言い残して調査官は帰っていった。

 

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