日本の未来

徳川家康が、朝廷から征夷大将軍に任じられ、江戸に幕府を開いたのが慶長8年(1603年)のことでした。

この一・二年、江戸幕府開府400年の記念行事が、東京を中心に数多く催されたことは耳目に新しいところです。

15代将軍慶喜が朝廷に大政奉還を決意したのが慶応3年(1867年)、260年余続いた徳川幕府は終止符を打ちました。
それから130年余、日本は欧米先進国に学べとばかりに官民一体となって欧米諸国を目標にして突き進んできました。
明治維新以来、欧米の近代化を理想的なものと考えるあまり、日本古来のものを軽視する風潮があったことは否めません。
ことに、昭和20年(1945年)の第二次世界大戦終結後の60年間は、日本がアメリカの一部にでもなったかのように、ほぼ無条件にアメリカを受け入れ、いわば従属していた時期でした。
新ミレニアム、経済面ではバブル経済が弾け、政治面ではいわゆる55年体制という与野党馴れ合いの時代が終わりを告げてから10余年。
日本は一つの袋小路に入り込んだまま、明確な指針を得ることなく、さまよい続けています。

少なからぬ人々が、将来に対する漠然とした不安感に悩まされているようです。政治、経済、教育等多くの分野で綻びが生じ、ゼロ金利状態が象徴しているように、この国が一つの極限状態に陥っているのは事実です。
しかし、だからといって、一部の悲観論者の言うように、日本が破綻してしまうようなことがあるでしょうか。
地方債を含めた国の借金が1000兆円にも達していたり、年金財政がおかしくなっていることから、国が今にも破産してしまうようなことを平気で煽り立てている人達がいるのですが、本当なのでしょうか。

過去400年のスパンで見た場合、現在以上に大変な状況は何回もありました。日本の国は、それらを全てうまく乗り切ってきたのです。日本人の柔軟性に富む知恵と勤勉な国民性の賜物でしょう。
小泉さんの改革路線がどのようにいいかげんなものであろうとも、いずれ落ち着くところに到達するでしょう。基本的には何ら心配することはありません。
1億3000万人の教育水準の高い国民、500兆円のGDP、高いレベルの社会的インフラ、1400兆円の個人の金融資産、この400年間に培ってきた世界的にトップレベルにある技術水準、更に大切なのは奈良時代以来1000年以上にわたって育んできた日本独特の文化、これらのものが現在ほとんど傷つけられることなく残っているのです。

改めて日本の棚卸し(インベントリー)をしたうえで、冷静に考えてみれば、自ずから将来が見えてくるのではないでしょうか。

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ここで一句。

“貧乏か金持ちなのか日本人” -大分、戸高章元

 

(毎日新聞:平成16年11月15日号より)

(所得が増えることが、はたして本当に幸せをもたらすのか、疑問です。GDP神話にかわるものを見つけ出すときが来たようです。)

 

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