A07 ハニックス工業 事件の真相 7

***(6)虚構のシナリオ

ハニックス工業の事件は、私がマルサと死闘を繰り広げているときに起ったものであり、当時から私と同じようなケースではないかという予感があった。

私はその後、逮捕され、手錠腰縄つきで刑事法廷の場に引きずり出され、名誉と人格権とを踏みにじられた。

その間、私は、自らの名誉を回復し、人格権を復活させるのに精一杯であり、他を省みるゆとりがなかった。

 

マルサの虚構のシナリオを完全に打ち破った現在においても、私には必ずしも心のゆとりがあるわけではない。
しかし、10年前、日本の「もののふ」として自決した一人の秀れた事業家の無念の思いが、私の心の中に益々大きくふくれあがり、彼の魂が渾身の力を込めて私に語りかけてくるのである、 ―
「ハニックス工業に関する一連の事件の真相が闇に葬られようとしている、真相を解明して世間に公表して欲しい。」

ハニックス工業の事件は、私のケースと同様に、マルサによる虚構のシナリオによるものではないか、疑念は一層強まっていった。

 

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