033 大木洋 民事裁判の判決

****1)大木洋

(ウ)民事裁判の判決



一、 私は、平成5年9月28日のガサ入れの初日に、マルサによって架空と決めつけられた不動産取引に関係のある民事裁判の判決が、直前の同年9月20日に、松江地裁から出されている事実を、大木洋に告げ、判決は、この取引が真実有効に成立していることを明確に認定していることを申し向けた。

 

二、 マルサの脱税嫌疑を真正面から否定するこの判決について、大木洋は、一瞬動揺しながらも、次のように言い放ったものである、 ―

「刑事事件は、民事裁判の判決には拘束されるものではない。そんなもの一切関係ない。」

 

三、 平成6年1月18日、私は、民事裁判についての大木洋の言い分を記録として残すために、広島の大木洋に架電し、改めて問い質した、 ―



山根:「私が嫌疑を受けていることに関連して、民事裁判が今3つ進行中なんですね。3つ、これご存知ですね。その内の2つは、すでに判決が出ています。一つのものは、あなたが昨年の9月28日、松江においでになったときに、私お話申し上げて、9月20日に判決がでましたよとお話し、判決文のコピーを差し上げましたね。」

大木:「賃貸料の請求の件ですね。」

山根:「そうです。それが2週間の控訴期限が過ぎても、佐原が控訴しなかったために、判決が確定しました。

 もう一つの株主権の関係の訴訟については、昨年の11月29日に、千葉地裁の判決が出ました。もう2週間以上たっていますが、佐原が控訴していないようですので、おそらく、今の時点で、判決が確定しているはずです。」

大木:「ほう。なーるほど。」

山根:「2つの判決とも、佐原の言っていることは全く信用ができないといって全面的に退け、取引は真実有効に成立していると認定しています。あなた方は、佐原の言うことを真に受けて、私達に脱税の嫌疑をかけているわけですね。

 この2つの民事判決について、あなたはどう考えているんですか。あくまで、脱税の調査に民事裁判の判決は関係ないとおっしゃるんですか。」

大木:「ええ、関係ないですね、全く。」

山根:「全く?」

大木:「関係ありません。民事の場合、既判力は当事者にしか及ばないんですから。我々の調査に影響を与えるものではありません。」

山根:「民事法廷で佐原が、あることないことを思いつくままにしゃべっているんですが、あなた方の調査の参考になりませんか。」

大木:「私達の調査には、全く関係ないし、参考にしませんね。」

山根:「全く参考にしない?」

大木:「そうです。と言うのはね、民事の場合、当事者は何を言ってもいいですから。法廷で嘘を言っても構わないわけです。なんせ、偽証罪というのはないんですから。」



四、 以上は、平成6年1月28日に録音したテープを忠実に再現したものである。

 民事裁判でも、当時者同士のいわば、慣れ合いの裁判ならばともかく、この2つの判決は、当時者が敵対的関係にある裁判の判決である。

 しかも、相手方の佐原良夫は、自らの責任をなんとか逃れようとして、民事法廷で嘘に嘘を重ね、その挙句、もともとの契約が架空のものだと言い張ったことを、正面から否定する内容の判決である。脱税の認定には全く関係のないものであり参考にする必要はないと、一蹴していいはずがない。



五、 前項で述べたように、脱税とはなりえない決定的な証拠をつかんでいながら、握りつぶした事実に加え、民事の判決とはいえ、極めて重要な証拠を全く無視した大木洋は、自ら確信犯として、捏造脱税事件の告発へと突き進んでいった。

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