029 証券マンは語る
- 2004.07.06
- 冤罪を創る人々
****3)証券マンは語る
コスモ証券 Y.H氏の話
一、 その日、私は鳥取に行っていました。飛行場で、お客さんがおいでになるのを迎えに行っていたんです。その後、鳥取の中堅企業を10社ほど回る予定でした。
二、 ところが、飛行場で呼び出しがかかりまして、すぐ松江に戻って来い、と言うんですね。私が担当しているお客のことで、査察が入った。Y.Hじゃないといけないから、すぐ呼び戻せと国税が言っているので、すぐ帰ってきてくれ、というのですね。グズグズ言うと、店のシャッターを閉めると言って脅しているというのですから、仕方ありませんでした。鳥取から汽車に乗って、松江に帰ったのは1時頃でした。
三、 それから、夜の7時頃まで、6時間ぶっ通しで尋問されたんです。向こうは魔法瓶かなんか持ってきていて、お茶を飲んだり、コーヒーを飲んだりしているんですが、私にはお茶なんか飲ませてくれません。6時間も水一杯飲ませてくれませんでした。6時間、缶詰状態でしたね。あんなに厳しくやられたのは、生まれて初めてです。
四、 「おまえも共犯じゃないか。山根と一緒に株で相乗りしているんじゃあないか。」というようなことを言うんですね。「この1億か2億の山根の玉(ぎょく)の中に、おまえのお金も入れて、チャンポンで資金運用をしているんじゃないのか。」と言うんですね。あるいはまた、「山根に女でも抱かせられたり、500万円か1千万円位の謝礼金でももらって、裏金の管理をしているんじゃないのか。」と言うんですよ。
まったく、やくざに絡まれて脅し上げられているような感じでした。一人は、わりかた静かな男だったんですが、“黒目”(黒目啓治、査察第一部門査察官)というやつが、広島弁でやくざみたいな男でした。
五、 山根先生は、もちろん呼び捨てで、私のことも“おまえ”呼ばわりですから。定年間近の私が、30才前後の若造に、“おまえ”呼ばわりされるなんて、本当に情けなくなりましたよ。
「おまえ、なんで、山根の悪いことを知っとって言わないんだ。なんで山根の肩をもつんだ。おまえもあちこちの支店長を経験しておるが、なかなか手強い奴だなあ。」こんなことまで言うんですね。
六、 次の日も、尋問が続きました。「昨日はゲロせんかったけども、今日こそ、本当のことを言ってもらおうか。おまえはお客寄りで、我々に全く協力しない。山根が隠しているようなこと、偽名とか仮名の取引口座があるんだろう。早く言ってしまえ。」と、前日と同じようなことをしつこく言うんですね。
我々証券会社は、銀行と同じように、大蔵省の管轄にあるものですから、査察としては好き勝手なことができると思っているんですね。私は、長い株屋生活の中でも、このような査察は初めての経験でしたので、改めて、とんでもない連中だと思いましたね。
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