028 銀行マンは語る
- 2004.06.29
- 冤罪を創る人々
****2)銀行マンは語る
第一勧業銀行柏支店 E.S氏の話
一、 当時の支店長、副支店長、みんな替わっちゃいまして、当時のなりゆきを知っているのは私だけだということで、指名で呼び出しがかかったんです。
二、 松江の支店に査察が入りますね。すぐ、副支店長が本部に連絡を入れた。今日、査察が入りましたと。本部の方で、協議がありましてね、当時の事情を説明させるために、E.Sを行かせろ、というふうになったんですね。私は柏の支店長の管轄ですから、松江の支店長が勝手に呼び寄せることはできないんです。人事部直轄なんですね。査察が入ったその日に、もう行け、ということでした。
三、 出雲便の最終の飛行機で行きました。松江支店に着いたのは7時頃で、それから真夜中の2時頃までですか、延々と取調べが続きました。向こうとすれば、これだけの金が動いたんだから、鮮明に覚えているはすだ、と言うんですけれどね。私、そうは言われても3、4年前のことなんて覚えてないんですよね。私も気がちっちゃい男のもんですからね、3人位ですごい声なんですよ。テレビでやっている警察の取調べそのままでした。3人に取り囲まれて、脅されるわ、すかされるわで、本当に参ってしまいました。
四、 私、その時言ったんですよ。「別に変なことしてませんよ。ましてや、山根先生は、公認会計士ですよ」そう言いましたらね、逆にまた、とことん怒られましてね。いやー、すごい剣幕でしたね。ただ、手は触れませんよね。言葉がすごかったんです。「おまえの一言で、明日銀行のシャッターを開けさせないことだって、できるんだ。」彼らは、シャッターを閉める権限がありますからね。「嘘なんか言ったら、おまえのところの常務だろうが、専務だろうが呼びつける。そうなってもいいんか。」こう言うんですね。脅かしですよ。ゾーッとしましたね。
五、 向こうは、煙草パクパク吸うわ、お茶はガブガブ飲むわ、こっちはなーんもないですからね。水一杯飲ませてくれませんでした。これが、査察の取調べなんだと思いましたね。
山根先生が極悪人で、私は共犯なんですね。頭から決め付けてるんです。メチャクチャですよ。「これだけのお金を動かすなんて、山根一人じゃ、絶対できないことだ。おまえも関与している。」こう言うんですよ。「おまえがいなけりゃあ、こんなお金、右から左へ動かせるわけがない。」と、こうなんですね。
六、 夜中の10時か、11時頃でしたでしょうか、彼らは電話のやりとりをしていました。「最後のキーポイントは、こいつだ。」なんて、私の目の前でやっているんですよ。“こいつ”呼ばわりです。「こいつを落としゃあ、いいんだ。」と、私の目の前で言っているんですね。「ここじゃあなんだから、え?税務署まで行くか。」なんて言われましてね。完全な脅迫ですよ。
私はなんにも悪いことしていないんだから、知らねえや、と思ってね、12時過ぎた頃から、完全に開き直っていました。
七、 山根とつるんで悪いことをしたに違いない、この考えで凝り固まっているんですね。向こうは、山根から何か物をもらったんだろう、と言いますからね、私、「もらいましたよ。転勤するとき、餞別もらいました。」そう言いますとね、向こうがまた、「コノヤロー、馬鹿にするな。」と怒るんですよ。その怒り方がすごかったですよ。
八、 取調べが終ったのが夜中の2時。ホテルには3時頃入りましたが、眠れないんですよ。次の朝、7時頃ホテルを出て、8時にはもう、向こうは来ていましたね。
九、 一時間位たった頃でしょうか。「君、帰りは何時頃だ。」なんて、急に言葉が違うんですよ。おかしいな、と思いましたね。「山根の件に関しては、君は関与していないんだな。」関与もなにも、と言いたいんですけど、とたんに態度が変わって、お茶は出してくれるわ、コーヒーは出してくれるわ、私、査察は噂には聞いていましたが、経験するのは初めてでした。大変なことをする連中ですね。
一〇、その後、体調を崩したこともあって、5キロぐらい痩せましたよ。
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