嘘から出たマコト-④
- 2017.07.19
- 山根治blog
緑税務署の個人課税部門統括国税調査官須田裕之ほか2名の税務職員が、一泊の予定で松江にある筆者の事務所まで赴き、「国税還付金振込通知書」について、虚偽の内容を持った有印公文書に陥りかねない偽りの回答をしたのであるが、その偽りの回答とは一体何か、また、何故、偽りなのか、あるいは、何故、そもそも、用意周到に整えられた偽りの回答をせざるを得なかったのか、これらの点を明らかにし、その結果として、何故、「査察事案は課税できない」というマコト(真実)が飛び出してきたのか、順次明らかにする。
まず、彼ら3人の回答が何故偽りであるか。虚偽の内容とは一体何か。ここで、還付金の発生事由とされた「過誤納」とは何か。
この「過誤納」あるいは「過誤納金」については、法律では、
と定め、“金銭で遅滞なく還付”すべきであるとしている。さらに国税通則法基本通達(徴収部関係)第56条関係 還付(国税に係る過誤納金)で、
と定め、本件のように予納として納付されたものを除く、と念を押した上で、国税通則法第59条(国税の予納額の還付の特例)に引き継いでいる。
一 納付すべき税額の確定した国税で、その納期が到来していないもの
二 最近において納付すべき税額の確定することが確実であると認められる国税
2 前項の規定に該当する納付があつた場合において、その納付に係る国税の全部又は一部につき国税に関する法律の改正その他の理由によりその納付の必要がないこととなったときは、その時に国税に係る過誤納があつたものとみなして、前三条の規定を適用する。」
この条文は分かり易く言うと次のようになる。
ということだ。
税務職員3人の回答は、上にいう、「一定の条件」が整ったので、払い込まれた4,500万円の全額を過誤納金とみなして返還するという内容である。果たして、これは本当のことか。
「一定の条件」というのは、筆者が分かり易く作った言葉で、法文に即して言えば、次の2つの条件である。
一つは、予納する際の条件で、通則法第59条第1項に定められている。
二つは、予納金の還付についての条件で、通則法第59条第2項に定められている。
まず、予納する際の条件は、通則法第59条第1項の1号と2号に次のように定められているものだ。
-第1号 納付すべき税額の確定した国税で、その納期が到来していないもの、
あるいは、
-第2号 最近において納付すべき税額の確定することが確実であると認められる国税
これらについて、納付する旨を税務署長に申し出て納付した金額があること、これが予納する際の条件である。
本件については、上記の第2号の場合だ。つまり、その時点ではいまだ納付すべき税額が確定していないが、近いうちに(実務慣行上、概ね6ヶ月以内とされている)確定することが確実である国税として、平成26年12月19日に4,500万円を予納金として緑税務署に納付している。
本件の場合、この予納時の条件に疑問符が付く。3人の説明によれば「予納金の返還申入書」が出てくるまでは予納として取り扱っていたという。納付(緑税務署としては収納。平成26年12月19日)してから、返還申入書を受理(平成29年4月7日)するまでの期間、2年6ヶ月の間、緑税務署は4,500万円の国庫収納金を、国税通則法第59条の予納金として扱っていたというのである。
この予納金に関しては、最近、東京地裁が画期的な判断を下している。
とする判断だ(平成28年10月28日、東京地裁判決平成26年(行ウ)第178号)。東京地裁は、6ヶ月とされているメドを超えているとして、近いうちに確定することが確実である要件に適合しないという理由から、予納を不適法としている。もっとも、筆者に言わせれば、2年6ヶ月といえば6ヶ月のメドをはるかに超えているだけでなく、査察調査には国税通則法第24条の「調査」が入り込む余地が全くないことから、“永久に”確定することはないのであるが。
いずれにせよ、納付すべき税額が、メドとされている6ヶ月を超えても確定しないような予納は不適法であり、不適法な予納を収納したことも同時に不適法である。この点に関しては、私達が「予納金の返還申入書」で申入れた、2つの返還申入の理由の一つ、
に合致する(「嘘からでたマコト-②」参照のこと)。
以上の事実は、3人が、申し述べた、
という言辞が、東京地裁の判断と矛盾することを示している。2年半も税額が確定しない予納そのものが不適法であることから、不適法であることは納付=収納した当初にまで遡るからである。国税資金支払命令官である緑税務署長は、三人の代理人をして東京地裁の判断に反する回答、即ち、予納としては不適法なものを適法であるかのごとく申し述べた、虚偽の回答をさせたことになる。
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ここで一句。
(我が家(や)の主(あるじ)、お猫様。)
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