板東英二さんの脱税事件は冤罪である!-②

 板東英二さんの脱税事件に立ちかえる。結論から先に言えば、これは事件ではない。事件ではないものを、大阪国税局がわざわざ事件に仕立て上げたものだ。冤罪である。昭和37年に国税通則法が制定されてから、50年以上にわたって国税庁は納税者を騙しつづけてきたのである。



 板東英二さんは冤罪の被害者だ。平成29年3月14日に放送されたフジテレビの番組は、一貫して板東さんを脱税という犯罪を犯した犯罪人として追及しているが誤っている。板東さんは、脱税犯ではない。罪刑法定主義を貫く日本国憲法のもとでは、脱税という犯罪そのものが成立しないからだ。私が平成28年10月に発見した『冤罪を証明する定理』(山根定理)で明らかにした通りである。

 この番組で問題なのは、MCの坂上忍氏ではない。問題なのは、コメンテイターである法律と税金の専門家だ。
-木村健太郎 弁護士 と
-佐藤 弘幸 税理士 
の二人である。
 このうち、木村健太郎弁護士は、弁護士であるが故に、当然のこととして税理士資格が与えられる(弁護士法第3条第2項)ことから法律的には税理士としての仕事も可能だ。しかし、ほとんどの弁護士がそうであるように、税金についてはほとんど何も知らないのではないか。簿記会計を知らないだけではない。法律の中で世界一難解といわれる税法の条文を読みこなすことさえ十分にはできないのではないか。
 佐藤弘幸税理士についても同様だ。この人物の経歴は次の通り。

****元国税実査官 佐藤弘幸

1967年生まれ。東京国税局課税第一部課税総括課、電子商取引専門調査チーム(現在の統括国税実査官)、統括国税実査官(情報担当)、課税第二部資料調査第二課、同部第三課に勤務。主として大口、悪質、困難、海外、宗教、電子商取引事案の税務調査を担当。退官までの4年間は、大型不正事案の企画・立案に従事した。2011年、東京国税局主査で退官。現在、税理士。(元国税実査官佐藤弘幸:『国税局資料調査課』-マルサを超える最強部隊の真実。扶桑社刊。)

 上記の経歴から明らかなように、佐藤弘幸税理士はノン・キャリアである。国税ОBであるが故に、税理士の資格は持っている。難関といわれている税理士試験の合格者ではない。いわば裏口から税理士になった者だ。
 いずれにせよ、この人物は、税理士法が税理士の使命の中で高らかにうたっているような「独立した公正な立場」(税理士法第一条)の人物ではない。あくまでも国税庁に勤務した延長として税理士業務を行っているだけである。独立した立場でもなければ、公正な立場でもない。
 このことは、佐藤税理士の前掲書から歴然としている。この著作は、リョウチョウ(資料調査課)の実態をほぼ正確に紹介したものだ。“ほぼ正確に”と敢えて念を押したのは、リョウチョウが違法な存在であることをひた隠しにしていることに加えて、平成25年1月1日に施行された改正国税通則法が、

「誰も得しない法改正であった」

などと嘘を言い、

「けれども、国税通則法で一番得をしたのは国側だと思う。追徴の期間を2年延長できたのだから」

などと、ピント外れのことを喋っているからだ(前掲書.P.163~P.166)。

 真実は、この法改正で国税当局は税務調査の枠をガチッとはめられてしまい、納税者に対して好き勝手なことができなくなったことだ。さらには佐藤弘幸税理士が、その著作の中で、得々として喋っていることのほとんど全てが、法に触れる、いかがわしいものであるということだ。
 もちろん、板東英二さんの脱税事件についてのコメントも嘘である。頭を下げて謝るべきは、板東英二さんではない。「マルサを超える最強部隊」という、マルサ同様の犯罪集団であるリョウチョウにいて、最前線の実査官として恐喝まがいのデタラメな税務調査に明けくれていた佐藤弘幸・元国税実査官のほうである。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――
 ここで一句。

 

”どちらかがウソをついてるウィンウィン” -臼杵、只乃愚痴

 

(毎日新聞、平成29年4月5日付、仲畑流万能川柳より)

(ウィンウィン 2人の他に 敗者あり)

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