検察官と裁判官を犯罪人として告発する!!-⑫

 ここで取り上げているのは、福岡国税局が告発し、福岡地検が脱税嫌疑者を逮捕・起訴したケースである。

 このケースが、「起訴状に記載された事実が真実であっても、何ら罪となるべき事実を包含しないとき」(刑訴法第339条一項の2)に該当し、裁判所に無罪の判決ではなく、公訴棄却の決定を求めればよいことについては、前回述べたところである。

 改めて考えてみると、このケースだけが特別なものではなく、全ての脱税裁判にあてはまることに気がついた。脱税は冤罪であると主張している私の立場からしたら当然といえば当然のことだ。

 これまで理屈の上では

「脱税(逋脱犯)は冤罪である」

ことが証明できていたのであるが、客観的な証拠に欠けていた。それがこのたび動かし難い客観的な証拠が出てきたのである。

一つは、起訴状の存在である。本件の場合、この公文書が5つの虚偽記載がなされたトンデモないシロモノであることが判明した。すでに本稿の④⑤で詳述したところである。これは、本件だけでなく全ての脱税事件における起訴状にあてはまるはずである。
 公訴提起に関して、我が国では起訴状一本主義が採用されている(刑訴法第256条)ことから、この起訴状がデタラメであることを論証するだけでも、脱税犯が冤罪であることが客観的に証明できることになる。

 二つは、所轄税務署長による

「更正処分」(国税通則法第24条)
(無申告の場合は、「決定処分」-国税通則法第25条)

の存在である。
 「更正処分」あるいは「決定処分」を
+誰が
+いつ
+どのように
するのか、これらのことが刑事裁判において極めて重要な関連があることに遅ればせながら気がついた。起訴状がデタラメにならざるを得ないのは、ひとえに、この「更正処分」(もしくは「決定処分」)がこれまでいかにいい加減に扱われてきたか、そのズサンな取扱いに訴因することに気がついたのである。

 本稿で取り上げているケースは、所轄税務署長の更正処分が、起訴時点までになされていないケースであった。つまり、「起訴状に記載された事実(公訴事実)」(刑訴法第339条二項の二)が仮に真実であったとしても、「何ら罪となるべき事実を包含しない」(同)ことが、適法な「更正処分」がなされていないという客観的事実によって証明された。その証明のプロセスは前回述べたところである。

 では、「更正処分」がすでに起訴前になされていた場合はどうであるか。たしかにこの場合、表面的には犯罪の構成要件は整っている。「税を免れた」という構成要件の大前提である「更正処分」が形式的には存在するからだ。しかし、それは偽りの「更正処分」であり、取り消しを免れない無効な処分である。屁の突っぱりにもならない。
 何故無効であるか。「更正処分」が適法になされておらず、「更正処分」が偽装工作によってもっともらしく整えられている、即ち捏造されているからだ。
 偽装工作を指示したのは国税庁長官だ。「事務運営指針」(「検察官と裁判官を犯罪人として告発する!!―②」の(注2)の3.で示した、平成24年12月13日課総2-49ほか7課共同)がまさにこの偽装工作指示書である。部外秘にされていたものであったが、東京国税局と折衝する過程で明らかになったものだ。
 東京国税局長に対して行政文書開示請求を行ったところ、東京国税局長の「指示」(部外秘扱い)が開示され、その「指示」の中に国税庁長官によるこの「事務運営指針」の存在が明示されていたことから改めて国税庁長官に開示請求を行い、ようやく明るみに出たものであった。東京国税局長は往生際が悪く、開示期間を延長した上でしぶしぶながら開示に応じたいわくつきのものだ。
 この「事務運営指針」が「更正処分」に対していかなる関連性を持っているのか、その具体的な説明は別稿に譲る。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――
 ここで一句。

 

”原発も五輪も仕切る宣伝屋” -青森、すのべえ

 

(毎日新聞、平成28年9月24日付、仲畑流万能川柳より)

(“ファシズムでナチスと組んだ関東軍”
 “宣伝屋 関東軍のなれのはて”)

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