016 証明プロセス4『貸付金を返済能力に加える』
- 2016.10.25
- 山根治blog
***七、証明プロセス4『貸付金を返済能力に加える』
証明プロセス3までで、59年2月に返済能力があったことが証明され、真相が浮上してきました。59年6月までは損益計算書において黒字であったということはバランスシートの上からも返済能力があることになります。ただキュッシュが形を変え別の資産となっているに過ぎないわけです。あるいは漏れているのです。私は、損益計算書とバランスシートが一対のものであることを知っています。また損益計算書が黒字であるならバランスシートの負債に見合う資産が必ずあるという理屈も知っています。
59年2月までは日計表による入金・出金・入庫・出庫における誤差は10億円以内のはずです。59年3月以降は何度も申し上げてきましたように、出金と出庫は日計表だけでは全てを表さないのですが、59年2月までは日計表でほぼ正しいのです。としますと、それまでのバランスは必ず合うことになります。
****一、資産の隠蔽-マイナス負債のトリック
私はこのような会計上の裏付けを踏まえてバランスシートを精査し、解明を続けました。そして見つけ出したのです。何というトリックなのでしょうか。驚いたことに、特定の負債(現資産集計で差し引かれた負債)を別にしますと、負債勘定が借方残になっているのです。借方残とは負債でなく資産ということです。
バランスシートの59年1月を見てください。負債の欄です。支払手形から始まるところです。残高貸方とあるのが負債の残です。一見しますと顧客よりの「預り保証金」、「預り保証金代用」、親金融や銀行からの借り入れである短期借入金以外にも多くの負債があるかのように見えます。これがトリックです。今からあばいていきます。
現資産集計表は銀行とか資金業者(親金融)からの借入金をすでに引いて計算されております。そして、現資産と顧客からの預り保証金、預り保証金代用とを比較して返済能力を考えているわけです。ということは、その他の負債資産を考える時には、この負債の中から銀行からの負債、貸金業者からの負債、預り保証金、預り保証金代用を引かねばなりません。また、中江分を合算して考えていますので、中江からの借入金も引かねばなりません。
科目別に説明していきますと、支払手形、買掛金、未払金は実際にキャッシュが出ているわけではありませんので、ここでは考えません。これに対して未収金、売掛金もあるわけです。これら実際にキャッシュが動かない科目は削除して考えます。金額的にも微々たるものです。
次に短期借入金ですが、59年1月借入金残は113億920万6916円となっています。ここから銀行からの借入金残、親金融からの借入金残、中江からの借入金残を引いていきます。銀行と貸金業者からの借入金が126億582万60円あり、中江からの借入金が4億8568万8589円あります。これらを合計しますと130億9150万8649円です。借入金残が113億920万6916円となっているのに、銀行、貸金業者、中江からの借入金の合計が130億9150万8649円もあるのです。
このことはどういうことかと言いますと、この差額の約18億円をどこか他のところに貸しているということなのです。こういう隠し数字をやっているわけです。修正前はそういう矛盾がないのに修正後はこういう矛盾があちこちにみえるのです。はじめに「180億円ありき」として、バランスシートを何とか180億円にあわせるようにして改竄を繰り返した結果、このような矛盾が生じたわけです。これは返済能力がないように見せるためにやったトリックです。
こんなことが法廷で出されている資料に堂々とされていても、裁判所は何も言われないのでしょうか。こんなトリックが許されるものなのでしょうか。
短期借入金は59年現在、銀行分、貸金業者分、中江分を引くと残は約マイナス18億円となり、逆に借入金の裏科目である貸付金のプラス残となるのです。しかも、この短期借入金の残約113億円の内、7億1898万4928円は57年3月末に中江からの借り入れ等を計上したものですので、残の約113億円からこの約7億円を引いたのが57年1月以降の残となるのです。とすると約106億円の残となり、さきほどの18億円を考えますとなんと約25億円ものマイナス残となるわけです。短期借入金の借方残の25億円は、貸付金が25億円あることを意味するのです。
すなわち、資産が負債の上だけでも25億円隠してあったわけです。巧妙に負債の欄に貸付金を隠すというトリックを当局はやってのけたのであります。
次の手形借入金については、当局が合算する時に間違いを犯しています。当社は手形と株券を二重に担保として差し入れて借りていたわけですが、決算上それを手形借入として組み込んでいました。見方によっては株券を担保にして借りているようにもみえるわけですので、当局は簿外と勘違いをして短期借入金に組み込んだわけです。すなわち、二重に借入金として組み込まれているのです。
前受金、仮受金、預り金、従業員預り金、端額預り金、預り資産、前受収金、従業員積立金、預り金雇用保険、顧客預り金、電話準備金、源泉税仮受金の12の勘定科目の合計貸方残は2億7915万1464円ですので、59年1月の顧客からの保証金と保証金代用、そして銀行と親金融と私からの借入れを差し引いた負債の合計はなんとマイナス約22億円となるのです。負債の欄が客と銀行と親金融と私からの負債を除けば、負債ではなくなんと22億円の資産になっているのです。
これは逆粉飾決算をして脱税する時に使ったり、横領の時に使ったりする犯罪的数字隠しのテクニックであり、検察はその犯罪的テクニックを、あろうことか公判にむかって使ってきたのです。この責任はあまりにも大きなものではないでしょうか。このようなことがもし公判で通るのなら、私はもはや日本の公判を信用できません。当局は資産を負債の欄にマイナスという形で隠し、返済能力がないかのように見せかけたのです。
正確な残資産を出すためには、残資産マイナス残負債の計算をしなければなりません。負債がマイナスの時は、資産としてプラスに計算せねばなりません。しかし、このようにして算出した資産は、これまで私が立証してきたはっきりとした根拠のあるものと比較しますと程度の低いものであります。と申しますのは、当局のトリックであるマイナスの負債、つまり負債の借方残はなんらかの資産には違いないでしょうが、はっきりとは説明できないからです。約25億円もの隠し資産のトリックをあばいたまではよいのですが、その資産の中身を説明できないのです。おそらく、実際には貸付金とか仮払金なのでしょうが、資料がありませんので具体的に証明できないのです。
そこで、私はここでも根拠のレベルの低いものは排除し、検察に譲ってやることにします。そこで、ここでは証言や供述で明らかとなっており、検察も認めている貸付金と別途貸付金のみを、返済能力として加えるだけにとどめることとします。これなら、誰も文句がないはずです。
****二、回収可能性
ただ一点、回収できるかできないかという回収可能性の問題がありますが、これについては100%回収可能でありました。当局は、これらについて「回収不能と考えられる」と言っていますが、現実の経済を知らないのにもほどがあります。何の根拠も示さずに「回収不能」といわれたのでは誰も納得はしません。いや実のところ、当局は根拠が示せなかったのです。なぜでしょうか。実際には回収ができたものですから、「回収不能と思われる」と言ってごまかしてしまったのです。
貸付金については物件を担保にとったり保証人を入れさせたりしていましたし、金を貸している間は当グループが一切の通帳を預って、売上を管理していたのです。押収されている通帳の中にはこれら貸付先の通帳もたくさん含まれております。なによりもこれらの貸付金の多くが、被害者のみなさんの預り金の返済に事件後充当されている現実を見てくださればわかります。
六本木で大鳥がやっていた2軒のクラブは、約3億円の債権を持っていた大手客のグループが差押えをして代物弁済となっておりますし、その他も同様に代物弁済となっています。喫茶店、食堂など全てその権利書を担保として保有していたわけであり、回収不能ということはないのです。
マスコミをにぎわせた倉田まり子さんへの貸付金にしても家を担保にとってのものですし、その借用書も印鑑証明書も当局に押収されております。あるいは企業の株券を担保にとって貸し付けたケースもありますが、それらの企業は今でも立派に営業しております。シャッターという写真週刊誌は1億円で買い取りたいという話をもらっていました。私は売却するつもりで話を進めていたのです。
どの債権が回収可能であるというのか、当局は具体的に示していただきたい。貸付金は全て回収可能だったのです。それほどシビアな姿勢で私は経営をしていました。投資ジャーナルグループは、そんなにいいかげんなものではありません。マスコミや当局が勝手に怪しげなイメージをつくり上げただけなのです。先ほど申しましたような当局が負債の欄に隠してごまかした資産は、私も何かわかりませんので、返済能力の中に入れないことにしました。ただ、私の信念としての経営哲学をもって実施したベンチャーキャピタルの貸付金分だけは、返済能力に加えることにいたします。なぜなら、これらの貸付金は回収できるものであり、事件後に実際回収されて被害者に渡っているからです。ビデオラムダなら、渋谷のビルの権利金だけでも数億円はあったのです。管財人の話では今でも経営を続けているということです。
当グループのベンチャーキャピタルが有していた回収可能な貸付金は、返済能力として組み込みます。ベンチャーキャピタルとしての貸付金をまともな資産に入れず返済能力に組み入れないなら、日本の経済原則は全く崩れてしまいます。土地、権利金、敷金、企業の株を担保にとっての貸付金が、正常な債権として認められないなんてことは経済常識を逸脱した考え方です。当時、これら貸付金債権はいくらでも譲渡することができたのです。明らかに返済能力に加えるべきものです。これを加えていないこと自体、当局が何とか返済能力をないかのように数字をつくりあげていった姿勢を示すものです。貸付金を加えた返済能力の数字が表8のD欄です。
****三、企業買収資金-『のれん』
貸付金を違った観点から考えてみることにします。
当社は貸付金の科目の中に、他の企業を買収した際に支払った費用を組み入れておりました。商法第285条の7に規定されているように、『のれん』を有償にて譲り受けた場合には、貸借対照表の資産の部に計上できることになっております。商法はのれんを資産として認めているのです。つまり、貸付金ということで出金している事実上の経営権買収費用は、すべて正当な資産であるということです。
証券ニュースやケイニチ、株界、証券ハイライト、ボナンザ等に対する貸付金は全てこのケースであります。これらの出版社は売却しようと思えば、買い値で他に売ることもできたわけですので、当然返済能力に加えるべきものです。もし、これらへの貸付金を返済能力に加えないのであれば、これらの会社の資産を返済能力に加えるべきです。50%以上の株を保有していたのですから、本来なら合算10社とともに合算して計算されるべきものであったからです。当局は、合算10社を勝手に選び出したにすぎないのです。証券ニュースは、ビル1棟すべてを借りていました。この保証金だけでも数千万円はあります。
ついでながら、これらの出資を行ったベンチャーキャピタルについて、私が経営者として放漫であったかのように言われていますが、それは経営としての先を見る目のない人達が言っていることにすぎません。先ほどの商法285条の7でもそうですし、開発費の費用においてもそうですが、全て5年で償却することになっています。一つの企業への投資とか貸付が成功であるか不成功であるかについては、5年は見てから考えるべきということで商法も5年と規定しているのではないでしょうか。すべての企業が事業をやり始めてまだ1~2年の企業でした。確かに赤字の企業もありましたが、それはまだやり始めて1~2年しか経っていませんので仕方のないことです。いや、多くの企業が1~2年ですでに月次では黒字に転換していましたのでまだ優秀な方であったと思います。
****四、計算表の説明
表8のC欄の現資産プラス手持ち株に貸付金を加えたD欄について、一点だけことわっておきます。当局が、修正した後のバランスシートの58年2月の貸付金のところを見てください。1億2347万5834円の貸付残となっています。ところが、この時点での中江への貸付残3億9213万1939円を差し引くと、2億6865万6105円のマイナスとなってしまいます。私が2億6865万6105円だけ誰かに返済してもらったということになるわけですが、58年2月以前にはそんなに貸し付けてはいないのです。これは明らかに矛盾することです。ベンチャーキャピタルの出金はちょうど58年2月からされているはずです。58年2月はどういう科目にすればよいのかわからないため、あるいは仮払い扱いでとりあえず出金していたのかもわかりません。仮払い貸付金というのはよくあるケースですから。そこで仕方ありませんので58年2月までは貸付金をゼロと看做して、58年3月からの貸付金分を返済能力に加えることにしました。ギリギリ最低での返済能力を証明しようとしていますので、この場合は検察に有利なように考えて譲歩することにいたします。
貸付金の算出について一応説明しておきます。バランスシート上の貸付金の科目を毎月見ていきます。当月借方マイナス当月貸方により、当月の貸付金の増減が出てきます。数値がマイナスとなった時はそれだけ多くの返済を受けたということです。ところが、貸付金科目の中の数字には中江への貸付金も含まれております。そこで、中江への貸付金分を引かねばなりません。当月借方マイナス当月貸方マイナス当月の中江への貸付金イコール当月の中江以外への貸付金が出てくるわけです。
中江への貸付金は182の資料9の№2にでていますので、貸付金の欄を見て引けばよいわけです。算定は、(バランスシート上の貸付金借方マイナス中江への貸付金の借方)マイナス(バランスシート上の貸付金貸方マイナス中江への貸付金の貸方)です。この数値が、当月の貸付金の増減ということになります。表10-2の①欄が当月の中江分を引いた残りの貸付金の増減であります。①’の欄は①の累計です。次にバンキングが使用していた貸付金の科目は別途貸付金の科目になっていますのでこれを加えます。勘定科目の名前が違うだけでベンチャーキャピタルとしての融資金には違いがないのです。
同様に、手形貸付金もベンチャーキャピタルの貸付金です。これはレイコウ堂という当時日本一の貸レコード会社に貸し付けていたものです。手形を担保にとっていましたので手形貸付金という科目にしたにすぎません。バンキングの別途貸付金は58年10月から開始されております。手形貸付金は58年9月にもありますが、当月のうちに返済を受けています。59年3月3日に3千万円を貸し付け、59年4月に3千万円返済を受け、59年4月に1億円貸しているだけです。
別途貸付金と手形貸付金を一緒にして計算したのが、表10-2の②の欄です。②の累計が②’です。返済能力を証明するための結果表である表10-1は、累計残で計算していっていますので、①’プラス ②’を出します。それが③’です。表10-1の結果表をみてください。Cプラス表10-2の③’イコールDです。
プロセス4までのところで証明した返済能力がDの欄の数字です。D欄において赤で書かれた数字の月は返済能力のない月ですので、プロセス4までで赤で書かれた数字の月がかなり少なくなってきました。すなわち、返済能力が計数的に証明された月が増えたということです。
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