島根原発と御用商人-③

 前回、島根選出の衆議院議員細田博之を取り上げ、「東大マフィアの中でもより悪質な原発マフィア」であると指摘した。

 「東大マフィア」については、「国税マフィア」と共にすでに詳細かつ具体的に論述(「デタラメな70年談話-③」参照)したところであるが、「原発マフィア」についてはいまだ詳しく述べていない。



 ここに「原発マフィア」について書かれた一冊の本がある。鬼塚英昭著「黒い絆 ロスチャイルドと原発マフィア」成甲書房である。3日前にアマゾンで注文し、昨日(平成27年9月15日)手許に届いたものだ。

 この本の初版第一刷は平成23年5月30日、あのおぞましい福島第一原発がメルト・ダウンした直後の出版である。直截(ちょくせつ。もってまわった表現ではなく、見たり感じたりしたことをずばりと言い切る様子-新明解国語辞典)的な文章は非常に分かり易く、瞠目すべき内容とあいまって一気呵成(いっきかせい)に読み通すことができた。久しぶりに、目から鱗(うろこ)が落ちる思いであった。

 鬼塚氏は、「序として」において、

“「原子力発電所」は「原爆工場」である”

と題して、この本を書くに至った経緯、趣旨について述べている。少し長くなるが、その全文を紹介する。

「私たち日本人は、原子爆弾と原子力発電所は全く別のものであると認識している。否、認識させられている。
 原子爆弾は、放射性物質のウランの核分裂反応を人為的に惹き起こして、そのエネルギーを爆発させる兵器である。
 では、原子力発電所(以下、原発)はどうであろうか。やはり、原爆と同じように、核分裂反応を人為的に惹き起こして、そのエネルギーを利用して電力を得る。私たちは発電をするための核反応を「原子力」と訳し、「核燃料」と言わず、「原子燃料」という。これが電力会社の詐術的な言葉使いであることに気づかない。英語ではどちらも「nuclear」である。すべて、原爆にしろ、発電にしろ、「核燃料」という言葉を使う。
 原子力発電所が「核燃料発電所」であることを知れば、この発電所が核兵器工場と同じであることが自明となる。私たちはこの狭い国土の上に、特に地震の多い地域に多数の核兵器工場を持っていることになる。
 私たち日本人の生活は地震だけでなく、もっとも恐ろしい他国の武装勢力に襲われる可能性の中でいとなまれている。もし、他国が、否、テロ行為を狙ったゲリラ組織が「自爆テロ行為」をしただけで、日本という国が滅亡する。どうしてか。原爆工場が無防備の中で電力なるものを作り続けているからである。
 あの「原子力発電所」と私たちが呼ぶ「核燃料工場(=原爆工場)」は、絶えずプルトニウムという非常に毒性の高い核物質を出し続けている。今も、原発の燃料プールでは、電力を得ると同時に、この使用済み核燃料が増え続けている。青森・六ヶ所村に搬出し始めていると電力会社は言っているが、決してゼロになることはない。この使用済み核燃料は、長期間にわたって発熱を続けるので、燃料プールで冷却しなければならない。
 日本の海岸線に沿って多くの原爆製造工場が造られている現状を知るとき、私たちの未来が非常に暗いということが分かるのである。

 

 私はこれから原子力発電所、否、核兵器製造工場のことについて書くことにする。どうして、日本に核兵器製造工場が造られたのかを追求していく。
 私はこれらの工場をアメリカから持ち込んだ人間たちを追跡する。それらの人間たちが、普通の人間ではなく、マフィア的人間であることを読者のみなさんに説明する。彼らを“原発マフィア”と呼ぶことにする。“原爆マフィア”と呼ぶべきかもしれないが、“原発マフィア”で統一する。
 世界中に原発マフィアたちがいる。原子爆弾が発明され、一九四五年八月六日に広島上空五百八十メートルで炸裂した原子爆弾について書くことにする。それは、原発マフィアたちが落としたものであった。
 何のために?原発マフィアたちの利益のためであった。私たち日本人は、広島と長崎に原爆を落とされた唯一の国民なのに、また、彼ら原発マフィアの罠にはまっているのだ。

     二〇一一年五月一日                  鬼塚英昭」
(前掲書.P.3~P.5)

 ノンフィクション作家の肩書を持つ鬼塚英昭氏は、上記の序文で明らかなように、売文(ばいぶん。(つまらない)小説・評論などを書き、その原稿料・印税によって生活すること)を生業(なりわい)とする“売文の徒”ではない。鬼塚氏は文字通り命を懸けてこの本を書き上げている。
 帯封で、「憤怒と慟哭で綴る原子力暗黒史」と銘打ち、「ヒロシマ、ナガサキ、そしてフクシマ…日本人の命をカネで売った日本人がいる!」として実名で告発するような売文の徒などいるものか。全体に、“寄らば叩(たた)っ斬る!!”といった鬼気迫る迫力が漲(みなぎ)っているのも故なしとはしない。

 日本における原発マフィアの第一号は、正力松太郎であると鬼塚氏は指弾する。

「正力松太郎はA級戦犯として死刑から逃れるために、岸信介、笹川良一、児玉誉士夫らとともに、人間として最も大事な“魂”をアメリカに売って、CIAの手先となった人間の“屑”である」(前掲書.P.47~P.48)

とまで言い切っている。

 原発マフィアの第二号は、中曽根康弘だ。
 鬼塚氏は、中曽根を支えたのは、裏の世界に生きる“利権屋”たちであったとして、田中清玄、久原房之介、児玉誉士夫の名前を挙げている。
 鬼塚氏は、

「彼(中曽根康弘)は、政治家として児玉誉士夫の巨大な利権のために働いてきた」(前掲書.P.53~P.54)

と指摘し、児玉誉士夫の子分であったとまで極言している。

 原発マフィアの第三号として指弾されているのは田中角栄である。

「田中角栄が原発利権を漁(あさ)っていたころの首相は中曽根康弘である。別の意味で二人は「刎頸の友」である。田中角栄が首相になるときは中曽根が協力し、中曽根が首相になるときは田中が協力した。お互いに原発利権を漁って子分を増やしていったのである。」(前掲書.P.173)

として、

「海岸線を持つ県から衆議院に立候補した者たちは、“原発マフィア予備軍”であった」(前掲書.P.171)

と指摘、

「原子力発電所は田中派によって建設されてきたのである」(前掲書.P.171)

と喝破する。広瀬隆氏の『越山会への恐怖のプレゼント』(1984年)における記述をベースになされた鬼塚氏の分析結果は見事であるとしか言いようがない。

 鬼塚氏は、原発マフィアのキーマンとして、正力松太郎、中曽根康弘、田中角栄の3人を挙げた上で、

「第一号、第二号、第三号の足元にも及ばないが、生涯を原発の利権に喰らいついてきた」(前掲書.P.223)

として、渡部恒三をとりあげ、「原発マフィア・スモール第一号」の称号を贈っている。
 ちなみに、「原発マフィア・スモール第二号」の称号を与えられているのは石原慎太郎だ(前掲書.P.233)。
 この伝でいくと、私がとりあげた細田博之代議士などは、原発マフィアであることは間違いないとしても、元祖原発マフィアとでも言うべき正力松太郎、中曽根康弘、田中角栄は勿論のこと、亜流原発マフィアである渡部恒三、石原慎太郎の足元にも及ばない雑魚(ざこ。小ざかな。大物に対して、小物の意にも用いられる-新明解国語辞典)といったところだ。
 ところがこの雑魚(ざこ)、東大マフィアの一員として、安倍・麻生の愚鈍コンビ内閣を陰で操り、ゴマカシの法律(安保関連戦争法案)をつくって日本をアメリカの戦争にまき込もうとしている。原発マフィアの本性が奇(く)しくも露呈したのである。

(この項つづく)

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 ここで一句。

 

”大臣はエラそうなので省長に” -坂戸、グランパ

 

(毎日新聞、平成27年9月15日付、仲畑流万能川柳より)

(官僚(公務員、役人、公僕)、日本銀行総裁、銀行頭取(社長)、ガバナー(知事)もどこかエラそう。)

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