ホリエモンの錬金術 -5

私が提示したホリエモンの3つのトリックについては、そのうちのどれ一つであっても、ライブドアの上場企業としての適格性にかかわるものです。

孫子の兵法に、“敵を知り己を知らば、百戦危うからず”と、あります。相手方を知ることが、戦いの第一歩であるということです。

フジ・サンケイグループとしては、あれこれと下手な小細工をする前に、相手方であるライブドアというのは一体何者であるか、改めてしっかりと見つめ直す必要があります。
正面からまともにケンカする相手ではありません。相手のから騒ぎに付き合うことはないのです。
ライブドアという会社は、所詮、自浄作用を失った株式市場が生み出した“あだ花”であり、幻の存在であると知るべきです。

あだ花であり、幻の存在であるライブドアの力の源泉とは何でしょうか。
ホリエモンが用意してきた800億円という現ナマでしょうか。あるいは、LBOによって3,000億円も準備するとほのめかしていた現ナマなのでしょうか。
違います。それらは決して力の源泉ではありません。それらも幻なのです。では、ライブドアの力の源泉とは何か。
ライブドアが上場をしていること、この事実こそ、ライブドアの力の源泉であり、ホリエモンの魔力の源泉なのです。
つまり、フジ・サンケイグループのとるべき戦略は、取り急ぎライブドアの上場企業としての適格性を厳しく問い質すことです。

この戦略は、お金もいらなければ、さほどの手間もいりません。何の策略も小細工も弄する必要はありません。まさに堂々と正面突破すればいいだけのことです。
私が先に提示した3つのうちのどれ一つであろうとも、事実であることが確認されるならば、上場基準に抵触するおそれがあるからです。
最近上場廃止となった、東証一部の株式会社キャッツとか西武鉄道株式会社などのケースとは、比較にならない程重大な問題をはらんでおり、このまま放置しておけば、日本の株式市場に大きな禍根が残ることにもなりかねません。単に、フジ・サンケイグループだけの問題ではないのです。
最近名証セントレックスに新規上場された(株)エフェクター細胞研究所の例が示すように、決して東証における過去の問題ではなく、その他の証券取引所でも規制緩和を背景にして、ベンチャー支援の名のもとに怪しげな会社が次から次へと上場されているのですから、まさに現在進行中の問題なのです。平成11年のITバブルをはるかにしのぐ“IPOスーパー・バブル”といったところです。

私は、証取法とか上場基準に抵触するおそれのある3つの事実を、証取法の規定に従って正式に提出された有報等の分析を行ない、既にその概要を説明いたしました。次回以降、詳細な説明に移ります。東証は審査能力と自浄能力とをどこかに置き忘れているようですが、証券取引等監視委員会は、どのように対応するのでしょうか。
仮に、私が提示した3つのポイントがしかるべき機関でそのうちの1つでも事実として確認され、ライブドアの上場適格性に問題ありとされるならば、ライブドアの上場廃止が現実問題として検討されるに至るでしょう。
もっとも、ライブドアはその前に資金繰りの面で深刻な事態に直面する可能性があります。会社の手許流動性は、現在相当以上に悪くなっているはずで、外部からの新たな資金の手当ができなければ、今までの矛盾が一気に吹き出してくるでしょう。
いずれにせよ、ほどなくホリエモン・マジックは崩壊をはじめ、マネーゲームのから騒ぎは終結に向かうことでしょう。
ホリエモン率いるライブドアという欲ボケ魔王は、アラジンの魔法のランプの中に帰っていくのです。同時に、ホリエモンとその仲間達(主幹事証券をはじめとしてインチキ上場にかかわった面々、上場後の2回の怪しげな増資にかかわった面々、及びストック・オプション、株式交換、合併等によってライブドア株の交付を受けた人達)が一般投資家からかすめとった莫大な富は、本来の正当な権利者に返還されるべきものとなるでしょう。
ホリエモンの錬金術 -2」において、empty moneyと言い、ゴマのハエ(胡麻の蝿)はハエたたきを用意すれば十分だ、と言ったのは、以上のようなことを考えていたからです。 (つづく)

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ここで一句。

“ガラス瓶なかの世界は割れて消え” -大阪、ヒヤケナス。

 

(毎日新聞:平成17年2月4日号より)

(ホリエモンというマジシャンが創り上げた蜃気楼としてのライブドア。ある日突然消えたりして。)

 

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