国税マフィアの闇-⑨

 またしても工藤会である。

 平成27年7月9日、福岡県警特別捜査本部は所得税法違反(脱税)容疑で再び工藤会の野村悟総裁を逮捕した。



 脱税容疑での第一回目の逮捕(“国税マフィアの闇-⑥”)は、組員が定期的に納める会費(上納金)のうち個人的に費消されていた部分を脱漏所得とみなしたものであったが、このたびは企業から臨時に得た“みかじめ料”だそうである。

 定期的な上納金であろうと、あるいは臨時のみかじめ料であろうと、現在の査察方式を前提とする限り、脱税という犯罪そのものが犯罪として成立しないことがすでに明らかになっている以上、いくら鳴物入りで逮捕してみても空振りである。

 それ以前に、そもそも福岡県警には脱税事件の捜査権とか逮捕権などないのではないか。

 それにしても福岡県警は明らかに常軌を逸している。野村悟氏については脱税容疑の2回を含めて6回目の再逮捕だ。暴力団であれば何をしても許されるとでも考えているのではないか。
明らかに国家権力の濫用だ。曲がりなりにも法治国家を標榜している日本である。とても正気の沙汰とは思えない。

 暴力団といい、特定危険指定暴力団といい、それらの決めつけは警察当局が勝手にやっているだけのことではないか。
 工藤会だけではない。山口組とか稲川会なども同様だ。彼らは任侠の徒を自任してはいても、決して暴力団などと思っていないはずだ。
 ひとたび暴力団の烙印を押されたら、その組員だけでなく関係者までもまともな社会生活を送ることができなくなっている。特高警察が跋扈(ばっこ。悪いものが思うままに勢力をふるうこと-新明解国語辞典)した治安維持法下の戦前を髣髴(ほうふつ。昔見た物がそこに現れたように見えることを表わす-新明解国語辞典)とさせる由々しき事態だ。  
 明日は我が身。決して他人事ではない。

 福岡県警のなりふり構わぬ暴力団対応は、安倍政権の狂気、即ちハーケン・クロイツ(鉤十字)の狂気とソックリだ。片や法律違反を承知の上で警察権力の暴走を繰り返し、片や憲法違反が明白な数々の法律案を数の力でゴリ押ししようとしているからだ。
 戦後未曾有(みぞう。それに類する事件が今までに一度もなかったこと-新明解国語辞典)の危機である。

(この項つづく)

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 ここで一句。

”自民党選んだ人に食い付かれ” -宇都宮、松本重雄

 

(毎日新聞、平成27年7月10日付、仲畑流万能川柳より)

(饒舌、詭弁、顔付までもがワイマール憲法を骨抜きにしたハーケン・クロイツ(Haken-kreuz)の、かの人に。)

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