「誰が小沢一郎を殺すのか?」-⑥
- 2014.07.08
- 山根治blog
前回、TKC全国会に触れ、副島隆彦氏の所見を紹介した。同時に、副島氏の所見を裏付ける具体的なケースについて述べた。
たしかに、副島氏が言うようにTKC全国会が国税当局の下請組織であることは厳然とした事実である。納税者のことなど二の次、三の次、とにかく国税当局べったりの組織である。
しかし、副島氏には大きな誤解があるようだ。それは何か。
副島氏はTKC全国会の創設者である飯塚毅氏を、かつて国税当局に対して納税者のために全面的に闘った人物、即ち、反税闘争を勝ち抜いた人物であると考えているようだ。しかし、それは誤解である。事実に反しているからだ。副島氏には、このような誤った思い込みがあるために、「それなのに、今はすっかり国税庁の幹部たちが潜り込み、天下って自分達のいいように乗っ取っている団体である。」(傍線は筆者)といった話しの展開になるのであろう。
この飯塚毅なる人物、副島氏をはじめ多くの人達が考えているような人物ではない。
もともと、ほとんどの税理士がそうであるように、国税当局を敵にまわして闘うことなど夢にも考えたこともない人物であった。国税当局に唯々諾々(いいだくだく。自らの主体性を全く持たず、相手の言いなりに行動する形容。-新明解国語辞典)として従うことを信条とするごく普通の税理士であった。
そもそも飯塚事件と称するものは一体何であったのか。世に大々的に喧伝(けんでん)されたこの事件は、安井誠という一人の大蔵官僚のご機嫌を損ねたことがキッカケとなって起った。その後飯塚氏は陰湿ないじめに遭遇し、結果的に飯塚氏の会計事務所の4人の職員が税理士法違反容疑で逮捕され、刑事事件として立件されることになった。このために飯塚氏は、やむなく法廷闘争をせざるを得なくなったというのが実際のところだ。
思い上がった安井誠という大蔵省のキャリアが、メンツをつぶされたシッペ返しとばかりに、飯塚氏が顧問先に指導していた「別段賞与」を脱税であると勝手に決めつけて騒ぎ立てた。脱税でもなんでもないことを脱税だ、不正だ、税理士法違反だと言い募った。火のないところに敢えて煙を立てたのである。犯罪の捏造である。
加えて、刑事告発を視野に入れて、飯塚会計事務所の関与先を片っぱしから税務調査し、関与先の引きはがしを画策。会計事務所を崩壊させ、飯塚氏を社会的に抹殺するためだ。ヤクザの所業と変ることのない暴挙である。
このとき飯塚毅氏はどうしたのか。飯塚氏はあまりのことに周章狼狽、慌てふためいた。動転したのである。与野党の政治家など多くの有力者に助けを求め、何とかことを穏便に治めようと奔走した。
この時、飯塚氏は口利きの仲介人のアドバイスを受け入れて、増上慢(ぞうじょうまん。まだ十分に悟りもしないし実力もないのに、悟った・(実力がある)と思って自信を持ち過ぎる・こと(者)。-新明解国語辞典)に陥った安井誠宛ての詫び状を書いたり、所轄の関東信越国税局長に宛てて嘆願書を書いた。嘆願書にいたっては一度ならず二度までも出している。詳しくは、高杉良著『不撓不屈』のP.32~35、P.49、P.78~79、P.82~84をご覧いただきたい。
中でも二度目の嘆願書こそ、飯塚氏の税務当局に対する考え方なり姿勢を端的に示すものといっていい。
飯塚氏は嘆願書において、
今後は再びこのようなことの無いよう、御趣旨に沿うよう努力する覚悟で御座います。就きましては、今回の私の決意と心境とを左に開陳致しますから、御諒承の上、何分にも御寛大な御処置を賜らんことを、お願い申し上げます。」(前掲書.P.78~79)
と、平身低頭の態(てい)で恭順の姿勢を明らかにし、具体的には、
つけたキャリア官僚。)の言われた衡平法の観点からする法律常識を超えると考えら
れる額については、誓って、至急修正申告を提出せしめます。
二.旅館の如く、業務の性質上、従業員の定着性確保に貢献しないと認められる別段賞与
は、至急修正申告を提出せしめます。
三.旅費について、法律常識から見て、不当に高額と思われるものについて、修正申告を
提出せしめます。
四.飯塚個人の旅費については、安井部長との御約束通り、昭和35年度のみでなく、昭
和36年度及び昭和37年度分共に、修正申告致します。
但し、昭和36年分の飯塚の旅費精算書が事務所引っ越しの為か、所内で紛失してお
りますので、探し出すまで、御猶予を御願い上げます。
五.別段賞与の指導は、昭和38年9月28日以降致しておりませんが、今後も、絶対に
致しません。
六.税務署の役人を誹謗したと思われた別段賞与に係る印刷物は、9月に焼却致しました。
斯かる印刷物は、今後、絶対に作成いたしません。(以下、略)」(前掲書.P.82~83)
と、役人の理不尽な横車に対して白旗をかかげて全面降伏している。ここでは、納税者(顧問先)のことなど全く配慮されていない。肝腎な納税者の視点がスッポリと抜けている。あるのは飯塚氏の税理士としての自己保身の思惑だけである。
江戸時代の悪代官に無理難題をふっかけられて、ひたすら、「ご無理ごもっとも」とばかり、這(は)いつくばって平身低頭する商売人の姿である。
これが飯塚毅氏の原点だ。それ以上でもなければそれ以下でもない。もともと、税理士そのものが、徴税機関の補佐役(「税理士記念日?」参照)として出発していることを考えれば、まさに飯塚氏は、国税当局に従順な模範税理士であったということだ。断じて「反税(税務署にモノ申す)税理士」ではない。
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ここで一句。
(小保方さん、負けるな柳子これにあり。)
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