11/28講演会「闇に挑む『原発とは何か?』-福島第一と島根-」-5
- 2012.01.24
- 山根治blog
***8. 原発は核兵器工場であった
今日の私のテーマの「原発とは何か?」について結論を申し上げる。ズバリ、原発は核兵器工場である、発電所というのは隠れみのであって、核兵器工場の排熱利用を行っていたにすぎない、これが私の結論です。今から60年前、原子力政策が導入された。中曽根康弘が35才の時、初めての怪しげな原子力予算を国会を舞台にして、吉田内閣を恐喝して作り上げた。ここから全てが出発します。いろんなことを考えますと、単なる発電所ではないんじゃないかと。私は、事故が起こるまでは、こんな疑いはもっていなかった。原発が発電所であることに何の疑いもありませんでした。火力や水力と同じように、発電の方法は違うけれども、発電所であるに決まっていると思い込んでいました。
ところが、これに対して私の中に疑問が湧いてきた。この夏、東京都知事の石原慎太郎が妙なことをしゃべった。「オバマ大統領は実際の核実験をするかわりに、コンピューターによって模擬実験(シミュレーション)をやった。日本にもプルトニウムが腐るほどあるんだから、シミュレーションをやればいいんじゃないか。日本の力をもってすれば、3か月もあれば簡単にできる」、このような石原知事の談話が新聞に載ったんです。何ということをしゃべるんだということで、それから私は疑問を感じて、いろいろと調べてみました。そうしてみると、出てくるわ出てくるわ、ゾロゾロと事実がでてきた。4ページの資料1(「講演会配布資料」参照)に12の根拠を挙げています。原発は発電所でなくて、軍事施設であるとする根拠です。
逆に、そうじゃない。原発はあくまでも発電所だという根拠は一つもみつからなかった。12の根拠の中で、もう一つ加えていただきたいのですが、岸信介の『回顧録』をネットで注文して今日届いた。その中でこんなことを言っています。岸信介が総理大臣の時です。「核兵器は持てるんだ」、国会で明確な形で、「現憲法下での核兵器の保有は可能だ」と言っています。昭和32年の国会です。32年は彼が総理大臣になって間もなくの頃、それから3年後に60年安保がありました。60年安保で樺美智子さんという東大文学部の4年生の女性がデモで亡くなった。彼女が亡くなる3年前に、岸信介は核兵器の保有について、国会の場で堂々としゃべっています。
余談ですが、彼女が亡くなったのは、私が松江商業の3年の時で、ちょうど大学受験の勉強をしていた最中です。私は政治的なことに関心があったわけではありませんが、とんでもないデモが起こって、国を真っ二つに割ったような大騒ぎをやっているということは知っていました。そのデモで、私より5才上の東大文学部の若い女性が亡くなった。それはめちゃくちゃ大きなショックでした。その年の秋に彼女の遺稿集が出た。『人知れず微笑まん』という本で、最近復刻版が出ています。その頃なけなしの小遣いで買いました。私は小学校の頃からアルバイトをしていましたから、そのお金でその本を買って、涙ながらに読んだ記憶があります。
60年安保闘争とは何であったかということも、今まで私が漠然と考えていたことと全く違う形で浮かび上がってきました。今度の私の原発絡みの調査で明らかになった。中曽根康弘の『自省録』と同じように、岸信介の『回顧録』も自叙伝です。二人とももっともらしいことを言っています。実は、4年前にアメリカのジャーナリストがCIAの機密文書をベースにして、岸信介の実像を明らかにした。岸信介はアメリカのCIAから15年に亘って、今のお金で年10億円を受け取っていた。CIAのエージェント、要するにスパイであったということです。アメリカの手先としてお金をもらって、アメリカの言うとおりのことをやっていた。もちろん、このようなことは『回顧録』の中には一言も書かれてはいません。原発に関しては、アメリカのスパイであった正力松太郎と彼の子分であった中曽根康弘が主にやったのですが、岸信介も同様に、原発導入でアメリカの言いなりになって、世界戦略の一環として持って来た。なお、CIA文書では、正力松太郎のスパイ名は、ポダム(PODAM)、ポダルトン(PODALTON)、ポジャックポット(POJACPOT)と、時期に応じて三通りに使い分けられています。60年の安保改定についても、アメリカの世界的軍事戦略の一環としてやった。このようなことが公開された機密文書等から明らかになった。
これまで日米安全保障条約があることによって、アメリカの核の傘で守ってもらっているんだと言われていた。私も信じ込んでいました。ところが実際には違っていた。当初からの経緯、歴史をひも解いてみますと、アメリカの核の傘で守ってもらっていたのではない、逆にアメリカを守るためにアメリカの核の盾にされていた。ソ連や中国に対して、アメリカの前線基地のような形で、日本国がアメリカの盾にされた。その一つの軍事施設、あるいは兵器を製造するものとして、原発が導入された。これが私の得た結論です。核兵器工場とする根拠というのを12挙げました。これに加えていただきたいのは、昭和32年岸信介が自ら、国会で公にしゃべっていることです。この回顧録を手掛かりに、私はこの時の国会の議事録を引き出しました。何十年前の議事録でも今はネットで出てきます。岸信介の言っていることは、国会の予算委員会の議事録に残っています。(「第026回国会 予算委員会 第24号 昭和三十二年五月七日(火曜日)」参照)
原発が核兵器工場であるとする根拠は、これを加えて13みつかりました。逆に、原発が発電所であって、核兵器工場では有り得ないという根拠は一つもみつかりませんでした。ですから、私が今の段階で言えることは、100%ではないまでも、99%の確かさをもって、原発は核兵器工場であるということです。
この中にも自民党の支持者の方がたくさんいらっしゃると思います。ぜひ、島根県選出の自民党の国会議員、隣りの鳥取県の軍事おたくで有名な石破茂、東京都知事の石原慎太郎、93才になる大勲位中曽根康弘。政治家ではないが読売新聞の渡邊恒雄、この人物も原発の利権に密接に絡んでいる。読売の正力松太郎が原発についてブラック・プロパガンダ、つまりインチキの宣伝を始めた。読売新聞を舞台として、原発は安全だ、原発は地球にやさしい、原発はコストが一番安いんだ、このような嘘っぱちをこの60年間言い続けてきた。渡邊は正力松太郎の子分みたいな男です。このような人達に、原発は山根が核兵器工場だと言っているが、本当ですかといっぺん聞いてみられたらいい。そしたらおそらく、今更何を言っているんだ、当り前のことじゃないかといった答えが平然として返ってくるでしょう。
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