原発とは何か?-①

 このところ原発についての論議がにぎやかである。脱原発といっても、直ちに原発を廃止すべしとする人から、10年後あるいは20年後の廃止に向けて段階的に縮小すべしとする人まで様々だ。原発推進についても同様で、電力の安定的な供給源としての原発は不可欠だとする点では共通するものの、主張する内容は実にヴァリエーションに富んでいる。

 この原発論議をx-yの座標軸でプロットしてみると次のようになる。x(横)軸に反「脱原発」(原発推進)の度合をとり、y(縦)軸に脱原発の度合をとる。

<%image(20110726-_.png|480|480|原発座標軸)%>

 原発論議の全ては、上図のA-B線上にプロットされる。
 y軸上のAは直ちに原発を廃止すべしとする100%の脱原発の立場であり、x軸のBは、これからも原発依存度を高めていくべしとする100%の反「脱原発」、つまり原発推進の立場である。中間点のCは、双方の主張を50%ずつ都合よく取り込んだいわば日和見主義だ。

***1.A(脱原発100%)の座標軸のメンバーは次のような人達である。
+小出裕章氏
+広瀬隆氏
+瀬戸内寂聴氏
+村上春樹氏(「村上春樹氏:カタルーニャ国際賞スピーチ原稿全文」)
+愛川欽也氏(「愛川欽也公式ホームページ」)

村上春樹スペインのカタルーニャ国際賞受賞式演説02
http://www.youtube.com/watch?v=kb_YK7KM3DI
村上春樹スペインのカタルーニャ国際賞受賞式演説03
http://www.youtube.com/watch?v=PBrfo4AWxds
村上春樹スペインのカタルーニャ国際賞受賞式演説04
http://www.youtube.com/watch?v=EZyCxQqNjmI

***2.B(原発推進100%)の座標軸のメンバーは次のような人達だ。
+東京電力をトップとする電力会社。
+自民党エネルギー政策合同会議のメンバー(「自民党エネルギー政策合同会議が発足 – 早苗コラム | 衆議院議員 高市早苗(たかいちさなえ)」)。
+東大工学部を中心とした原子力関連の学者。
+日本経済団体連合会を中心とした経済界。
+読売新聞をはじめとする既存の大手メディア。

 A(脱原発100%)に属する人達とB(原発推進100%)に属する人達との違いは何か。ズバリ、原発がらみのお金に毒されているかいないかだ。あるいは広く原発利権と言ってもいいかもしれない。
 つまり、Aの人達は原発利権に関係がないのに対して、Bの連中は原発利権にズブズブだ。あるいは、Aの人達は、日本と日本の国民全体のことを真剣に考えているのに対して、Bの連中は自分達さえよければいい、自分達だけが儲かり、自分達だけは安全な場所にいればいいと考えている輩(やから)だ。日本の国土がどのように汚染されようとも、多くの人達がどのように放射能被害を受けようとも構わないと考えているのであろう。この点、武器を売って生業(なりわい)としている「死の商人」と何ら変るところがない。

(この項つづく)

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 ここで一句。

“ヤケドした指を冷たい彼にあて” -北九州、お鶴。

(毎日新聞、平成23年7月20日付、仲畑流万能川柳より)

(粋!)

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