未曾有の大震災と日本経済

 平成23年3月11日、東北地方から関東地方にかけて未曾有の大地震と地震に伴う大津波が襲った。TVで中継される生々しい被害の状況は余りにも痛ましい。惨状は日を追うにつれて大きくなり、目を覆うばかりだ。不幸にして災害に巻き込まれた人々のことを思うと涙が止まらない。お亡くなりになった方々については、ただただご冥福をお祈りするばかりである。



 今回の大震災と大津波によって全てを失い、着の身着のままで避難している44万人の人達に対して、国は直ちに財政出動をして万全のケアをすべきである。自助努力とか民間の善意に委ねるだけでは限界があり、このような時にこそ、できるだけ多くの公費を投入すべきだ。

 物的被害については、家を失い、生活手段を失った多くの人々に対して、これまた直ちに国を挙げて取り組む必要がある。破壊されたインフラの回復についても同様である。

 これらに対応するためには、概ね50兆円規模の財政出動が必要となるであろうが、菅内閣としてはためらうことなく決断すべきだ。自民党の谷垣総裁が口走っているような震災特別税などではなく、特別国債の発行に踏み切ればよい。この返済財源としては、民主党のマニュフェスト通り、年間16兆円から20兆円の歳出カットを断行すれば十分である。財務省のインチキ官僚を、この際全て首にして、文字通り、ゼロ・ベースで出直すのである。マニュフェストを実現するまたとないチャンスではないか。災い転じて福となすのである。

 更には、被災地域以外の道路工事、全てのダム、河川改修はこの際一旦中止にして、その資金をこの度の大災害の復旧に充てるべきである。ムダな工事の代名詞であるダム工事、もちろん八ッ場ダムなど真っ先に中止すべきだ。
 私が反対を続けている大橋川改修工事(「大義名分なき公共事業」「粉飾された2兆円 」参照)は、地域住民の反対の強い一部地域だけを残して着手されることになったが、これなど直ちに中止すべきである。150年に一度あるかないかの水害、それも人的被害もなければ、単なる数10センチ程度の浸水にとどまり、家屋などの損壊もほとんどないような水害を防止するという名目で、数百億円の国費が投入されようとしているのである。このような不要不急の出費を絶ち切って、一瞬にして地獄の苦しみを味わった人々の復興にこそ振り向けるべきだ。大橋川改修工事を国交省の尻馬に乗って、惰性的に進めてきた島根県も松江市も、このムダな公共事業の中止を国交省に申し入れるべきである。救援チームを派遣するのも結構であるが、より効果的な支援は、ムダな出費のカットを申し入れ、それを復興資金の財源とするように申し入れることだ。
 この50年、保守王国の名をほしいままにして、血税を食いちらし、利権がらみの土建行政を進めてきた島根県の汚名を返上するいい機会ではないか。

 日本経済には、このところ株価が暴落したり、工場の一時閉鎖があったりして、暗い雰囲気が漂っているが、心配無用である。震災復興に50兆円投入しようとも、あるいは、GNPが1~2割減少しようとも、私達の日本国はビクともするものではない。
 ただ唯一の気がかりは、福島原発の事故である。この事故は直接の原因こそ天災によるものではあるが、起るべくして起った人災というべきものだ。長年にわたってゴマカシにゴマカシを重ねてきた原発行政のツケが一挙に露呈したものである。自民党の悪政のシリヌグイをさせられている菅総理と枝野官房長官。腐り切った自民党政権ではなしえない事故処理を期待すると同時に、この原発事故を教訓として、ゴマカシの原発政策を抜本的に見直すべきである。

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