400年に一度のチャンス -3
- 2011.02.01
- 山根治blog
***3.日本は破産しない-(3)日本破産論の虚妄
たしかに現在の日本は、「日本破産論」に代表されるように閉塞感に満ちている。これを打破しようと百家争鳴、様々な提言が巷に溢れている。
曰く、 “減税をせよ”
“消費税のアップだ”
“公共投資を増やせ”
“デフレを終らせろ”
“円高をストップさせろ”
“TPPに賛成だ”
“TPPなんてとんでもない”
喧々囂々(けんけんごうごう)、なんとも喧(やかま)しい限りだ。
たしかに、この人達は、
+多くの失業者を抱えているだけでなく、1,000万人を超えるワーキング・プアがいる現実、
+国債等の国の負債がGDPの2倍近い900兆円を超えている現実、
この2つの現実を踏まえた上で発言し、提言してはいる。この2つの現実が事実であることはその通りであり、もちろん異を唱えるつもりはない。
しかし、1.については、このように雇用環境が極度に悪化している原因が十分に解明されているとは言えないし、2.については、国が発行している国債の背後関係(裏付けとなるプラスの財産、ことに世界一の対外債権)がスッポリと抜け落ちている。飛びかっている意見の多くは、現象の一つの側面だけを捉えて、現象の背後にある実態を捨象しているのである。
ちなみに、実態を十二分に承知した上でなされている発言を“タメにするヨタ発言”という。ここに“ヨタ発言”(注)とは、与太者が発する戯言(たわごと)といったほどの意味あいだ。“タメにする発言”とは、たとえば消費税アップをなんとか国民世論として定着させ、日本の財政を従来通り勝手気ままに牛耳(ぎゅうじ)ろうと目論む財務省の役人達とその腰巾着である学者とか評論家といった人達の発言のことである(次回以降、詳述する)。
また、実態を十分に知らないでなされているのを、“無知によるヨタ発言”という。大手新聞の論説委員、あるいはテレビのキャスターとか解説委員の多くが発する戯言である。何でも知っているようなしたり顔をして、無知を晒しているヤメ検のコメンテーターなどもこの類(たぐい)だ。落語に出てくるモノ知り自慢の長屋の隠居が、珍答奇答を繰り出す図式である。中でも悪質なのは、狼少年のように、日本は破産する、破綻すると騒ぎ立てて、怪しげなファンドなど自分の商売に引きずり込もうとする不逞(ふてい)の輩だ。“詐話師によるヨタ発言”である。いずれも戯(たわ)け者の発言であることに変りはない。(実例は号外で示す。)
このような中にあって、様々なヨタ発言を封ずる一冊の本が発刊された。
である。極めて分かり易く、噛んで含めるように解説された良書であり、一読の価値がある。
***(注)ヨタ(与太) … (広辞苑より)
① 知恵の足りないもの。役に立たないもの。おろかもの。
② でたらめ。ふざけたくだらないことば。
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(まさか。)
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