粉飾された2兆円 -号外2

 先週の号外で紹介した地元紙の記事は、重要な点で誤っているようです。
“斐伊川・神戸川治水対策事業の審議では、上流部のダム、中流部の放水路、下流部の大橋川改修の三点セットのいずれも事業継続を妥当と判断“(山陰中央新報 平成20年7月29日
と、なんとも当然のような書き方がなされているのですが、どうもオカシイのです。

平成20年7月28日に開催された、国土交通省中国地方整備局の事業評価監視委員会に提出された斐伊川水系治水事業に関する『河川事業の再評価項目調書』なるものがネット上で公開されていますので、プリントしてじっくりと検討し、更に5年前に公表された同様の調書と比較吟味してみました(別表:斐伊川水系治水事業に関する再評価項目調書の比較検討資料を参照)。

 その結果、にわかには信じられないことが判明。地元紙の記事の中にある「三点セット」という文言はたしかに5年前の「調書」には存在し、つい最近まで過去の約束事だとして、錦の御旗のように国交省も島根県も松江市も言い募ってきたこと(これがゴマカシであることについて、私はかねてから指摘してきました)ですが、それがこのたびの「調書」ではスッポリと抜けているのです。そればかりではありません。「大橋川改修工事」自体が「調書」から消されている始末です。驚きましたね。
 従って、「調書」をキッチリと読む限りでは、

“三点セットのいずれも事業継続を妥当と判断”

したことにはなっていません。つまり、
+三点セットそのものが存在しないこと、
+大橋川改修については、事業として取り上げられていないため、事業継続の方針などどこにも明示されていないこと、
この二点こそ「調書」が示している事実ですので、これに明らかに反する事実が記載されている記事は誤っていると考えられるのです。

 誤っている(と思われる)記事が地元紙に堂々と掲載されるに至った経緯は定かではありません。考えられるのは、
+故意に歪曲されたプレスリリース(マスコミ発表)がなされた、
+故意ではないが誤解をまねくようなプレスリリースがなされた、
+プレスリリースは正確になされているが記者が誤って伝えた、
など、いくつかのケースが想定されます。いずれにせよ、山陰中央新報は、島根、鳥取の地元紙として地域にそれなりの影響力を持っているメディアですので、改めて取材をし直し、仮に私の言うように記事に誤りがあるのであれば、直ちに訂正記事を掲載すべきです。

(別表) 斐伊川水系治水事業に関する再評価項目調書の比較検討資料
http://forest-consultants.com/media/1/20080805-hikaku.pdf

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“使っても ないのにオッパイ くたびれる” -大阪、中川朋子。

(毎日新聞、平成20年8月4日号より)

(やせ蛙 負けるな一茶 これにあり。)

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