171 続・いじめの構図 -15

****その15)

 平成18年12月14日、嵩(かさ)にかかった要求が繰り出された。再び広島まで出頭せよというのである。今度は私だけではない。私が所属している事務所のK副所長をも事情説明のために出て来いときた。しかも日時が、12月25日と一方的に指定されている。K氏にとっては通常の月末の業務に加えて、年末の業務が重なっている、それこそ猫の手を借りたいほど忙しい時期である。K氏宛の出頭要請は、丁重な文面でなされていたものの、私に対する文面はお上(かみ)からの命令口調であった。お白洲への呼び出しである。

 この時点で私はゲームが終了したと判断した。広島と東京の税理士会で展開された、サル山の馬鹿騒ぎに決着をつけるときがきたのである。ゲーム・イズ・オーバーである。同時に、私の税理士登録は、税理士会側の思惑に反し、間もなく完了するであろうことを確信した。

 平成18年12月18日、中国税理士会のM登録審査委員長宛に一文を草し、書留内容証明郵便にて送付した。ゲーム終了宣言である。この時、平成19年1月12日付の国税庁長官宛の審査請求書を予め作成し、三ヶ月が徒過したら直ちに審査請求できる体制を整えた。

 M委員長宛の書簡の全文をここに掲げる。私以外は全て仮名にした。

広島県中区袋町4番15号
中国税理士会
副会長、登録審査委員会委員長 M殿

1. 私は、平成18年10月12日、税理士法第21条の規定に基づいて、税理士登録申請を致しました。求められるままに、数多くの法定外と思われる事項を登録申請書と履歴書に記入し、かつ、法定外と思われるおびただしい量の添付書面を提出したところであります。同日、貴会に赴き、事務局次長F氏による書面審査を受け、登録申請書の受理をしていただきました。訂正と加筆の作業を加えますと、5時間にも及ぶものでした。私は、事前に交付を受けた「税理士登録開業の手引」(平成18年7月.日本税理士会連合会発行)とF氏作成の追加添付資料明細書に従って登録申請書と履歴書とを作成し、添付書面と共に提出したわけでありますが、余りにも補正すべき事柄が多いことから、F氏に対して、
『何故、「税理士登録開業の手引」に示された以上に微に入り細にわたる記述をしなければならないか、また、法で明示されている添付書面以外のものにはどのようなものがあるか教えて欲しい』
と申し向けたところ、同氏は、
『それらは日本税理士会連合会の内規で定められたものであり、部外秘となっており教えることはできない』
と答え、私の問いかけに応じて下さいませんでした。
 尚、私は登録申請を執行猶予期間満了後直ちに行うため、平成18年9月28日に貴会に対して登録申請の用紙の交付をお願いしたところ、言を左右にしてなかなか交付していただけませんでした。再三にわたる要請によって、しぶしぶながら用紙を交付していただいたのは執行猶予期間満了の一日前の平成18年10月3日のことでした。法定外と思われる膨大な量の添付書類を用意するのに時間を要し、これらの二つの事情から登録申請が遅れ、平成18年10月12日に至ってようやく申請書を提出し、受理して頂いたところです。

2. その後、平成18年10月19日には、中国税理士会松江支部長T氏からの呼び出しを受け、松江市の同氏の事務所まで赴き、1時間余りの審問を受けました。

3. 平成18年11月22日、貴殿からの出頭要請があり同年12月1日午前10時に広島の貴会まで出向きました。執行猶予中の3年間の動向について詳しく尋ねたいとの趣旨でしたので、その要旨を予め書面にしたため、持参致しました。その書面は、貴殿と同席のH氏にそれぞれ手交したところです。
 同日、貴会会長室にて、貴殿並びに貴会副会長H氏から、事務局F氏立会のもとで、2時間ほどの審問を受けたところであります。その際、貴殿から
『近畿税理士会では執行猶予期間が終了した場合、直ちに登録申請を受け付けることはしないで、1年から2年の間、謹慎期間をおくことにしている。中国税理士会では今のところこのような取り扱いをしているわけではないが、山根の方から自発的に登録申請書の取り下げをする考えはないか』
と申し向けられ、申請書の取り下げを慫慂されました。
 審問中に貴殿は、3回にわたって私に取り下げの要求をされましたが、私は
『税理士法と同法基本通達に従って登録申請をしたものです。よろしくお願いいたします。』
と申し述べ、自発的に取り下げる意思のないことをお伝えしました。

4. 平成18年12月12日、事務局のF氏より貴殿からの要請として、税理士法第24条の二に定める審査請求をしない旨の誓約書を提出することを求められました。日本税理士会連合会に意見具申をするために必要な書類であるとの説明でした。同年12月15日、貴会からの速達書留便で、印刷した書式2通が送られてきました。

5. 平成18年12月14日、貴殿から私とK氏に対して、同年12月25日に広島の貴会まで出頭せよとの要請がありました。松江から広島の貴会に出向く場合、丸一日か2日の時間を割かなければなりません。12月25日といえば年末の超繁忙期です。私は申請当事者ですから、再度審問を受けるために広島まで出向くのもやぶさかではありません。しかしK氏の場合は事情が異なります。K氏は、株式会社山根総合事務所の職員であり、同社の経営権(代表取締役及び株式)については今年の6月27日に公認会計士のY氏に譲り渡した(このことについては、平成18年12月1日に直接貴殿に詳しく説明致しました)ところであり、私の一存で出向かせることができません。Y公認会計士に事情を説明してお願いしなければなりませんので、出頭並びに審問の趣旨についてお尋ねしたところ教えて頂けませんでした。

6. 平成18年12月14日付の文書(F氏作成)と共に、同年10月12日、私が貴会に提出し、受理された税理士登録申請書と履歴書とがそれぞれ1通だけ送られてきました。職歴の追加記入と勤務期間の修正をするように指示されています。当初私は、規定に従って、税理士登録申請書と履歴書を、それぞれ5通(正本1通、副本4通)提出しております。そのうちの、日本税理士会連合会宛の正本(『日税連18.11.-6』とする収受印が白い修正インクで抹消されたもの)のみが私に返送されてきました。残りの4通の副本のうち3通は、税理士法第21条2項に基づき、島根県知事、松江市長、松江税務署長に受理後直ちに送付され、残りの1通は中国税理士会に控えとして保管されているはずです。

7. 以上の1.~6.を踏まえて以下の諸点についてお尋ね致します。

 1)税理士法の規定によって設立され、同法の定めるところによって登録事務を行っている税理士会にあって、登録申請書は、求めに応じて直ちに交付すべきものだと思科致します。再三の求めになかなか応じて頂けなかった理由をお聞かせ下さい。参考までに申しますと、公認会計士の再登録については、公認会計士法によって設立され、同法の定めるところに従って登録事務を行っている日本公認会計士協会から、執行猶予満了までに登録申請書の交付を受け、執行猶予期間満了の翌日、平成18年10月5日に登録申請をし、同年10月17日に公認会計士の登録がなされています。

 2)税理士法に定められている登録要件を超えて、別途税理士会で登録要件を内規として定めているのであれば、登録申請者に明示すべきであると思科致します。部外秘とされている理由についてお知らせ下さい。

 3)貴殿が私に対して強く求められた、登録申請の自発的取り下げについて、その根拠をお聞かせください。税務当局からの行政指導でもあるのでしょうか。

 4)貴殿が私に求められた税理士法第24条の二に定める審査請求をしない旨の誓約書(日本税理士会連合会会長宛並びに中国税理士会会長宛の2通の税理士登録遅延承諾書)について、その趣旨並びに根拠についてお聞かせください。これまた、税務当局からの行政指導でしょうか。

 5)私に対する再度の審問要請とK氏に対する審問要請について、その趣旨についてお聞かせください。税理士登録申請は私の個人的なことがらであり、申請について、直接的な関係のないK氏に関しては、日時を一方的に指定して広島まで呼びつける根拠についてお聞かせ下さい。審問自体を拒否、あるいは妨害しているわけではありませんので、K氏が広島まで出向くことなく中国税理士会松江支部長に審問を委託して頂くか、あるいは貴殿が松江までおいでいただくことはできないでしょうか。

 6)平成18年12月14日付の文書によって指示がなされている税理士登録申請書と履歴書の追加記入と修正記入とは、送られてきた正本の1通のみでよいのでしょうか、残りの副本4通については追加又は修正しなくともよいのでしょうか、お尋ね致します。
 あわせて、正本と副本の内容が異なってもよいとする理由をお知らせください。さらに日税連の収受印が白い修正液によって消されていますが、誰の指示で誰が消したものでしょうか。また収受印が、通常の抹消方法とは思われない、白い修正液による隠蔽方式によって抹消された経緯についてもお知らせください。

 以上、6点について、平成19年1月11日までに書面によるご回答を賜りたくお願い申しあげます。

 平成18年12月18日

島根県松江市魚町69番地
                        公認会計士 山根治    

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