ゲームとしての犯罪 -24

NIFファンドの平均の買いコストは、前述のように13,232円ですが、その内訳は次の通りです。

***<表21>NIFファンドの株式取得状況の内訳
^^t
^cc”^NO.
^cc”^年月日
^cc”^株数
^cc”^単価
^cc”^金額
^cc”^備考
^^
^1.
^平成12年9月29日
^rr”^9,100株
^rr”^10,000円
^rr”^91,000千円
^第三者割当
^^
^2.
^平成15年9月23日
^rr”^800株
^rr”^50,000円
^rr”^40,000千円
^第三者割当
^^
^cc” colspan=”2″^計
^rr”^9,900株
^rr”^13,232円
^rr”^131,000千円
^
^^/
(注1)「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」(平成17年2月)、P.57、P.58、P.116、及び、NIF社が開示した「大量保有報告書」等による。一部は推定。
(注2)株数は、平成16年7月30日になされた1:10の株式分割換算後のもの。

エフェクター研の設立は、平成11年6月1日、資本金10,000千円。この年のうちに立て続けに3回の第三者割当増資を行ない、資本金は、同年末で115,950千円に。ここまでは、一株5万円で発行されています。上場時に換算しますと、一度だけ10分割がなされていますので、一株当り5千円ということになります。
平成11年、マザーズを初めとする新興市場が開設されています。エフェクター研は大学発ベンチャーとして設立されてから、大幅な規制緩和によって上場が容易になった新興市場への上場を目指したものと思われます。
翌平成12年9月29日、発行価格10万円(分割換算で1万円)で1,600株の第三者割当増資がなされています。この1,600株の中の910株(分割換算後では9,100株)がNIFファンドに割り当てられているようです。
その後、発行価格10万円(分割換算1万円)で4回、発行価格50万円(分割換算5万円)で6回、第三者割当増資がなされています。
その間、それまで株を保有していた投資事業組合から株を買い戻し、新たな株主に振り当てられています。
株式を手離した投資事業組合等は、以下の通りです。

***<表22>株式を手離した投資事業組合等
^^t
^cc”^NO.
^cc”^株主
^cc”^株数
^cc”^分割換算
^^
^1.
^シーエスケーブイシー・バイオ・インキュベーション
投資事業有限責任組合
^rr”^1,600株
^rr”^16,000株
^^
^2.
^ソフトバンク・インターネットテクノロジー・ファンド2号
^rr”^620株
^rr”^6,200株
^^
^3.
^投資育成1号投資事業有限責任組合
^rr”^320株
^rr”^3,200株
^^
^4.
^東京中小企業投資事業有限責任組合
^rr”^300株
^rr”^3,000株
^^
^5.
^CSKベンチャーキャピタル株式会社
^rr”^259株
^rr”^2,590株
^^
^cc” colspan=”2″^計
^rr”^3,099株
^rr”^30,990株
^^/
この株式(3,099株)の移動は、平成14年10月30日から同15年3月20日までの間になされています。平成15年3月20日現在の発行済株式は、6,219株ですから、実に50%(3,099株÷6,219株)もの株式が、5ヶ月の間に入れ替えされたことになります。

エフェクター研は、東大発のベンチャーとして各方面から注目され、多くの投資家をひきつけたものと思われますが、株式を上場するには収益基盤が余りにも貧弱で、正攻法では上場がおぼつかないとでも考えたのでしょうか、この時点で上場に向けての仕切り直しをしたのでしょう。
この仕切り直しは、大和証券グループが中心になってやったようです。大和証券グループのエヌ・アイ・エフベンチャーズ株式会社が、自ら所有する株式のみならず、管理運用しているNIFファンドが所有している株式をも手離していないだけでなく、この仕切り直し後に行なわれた、第三者割当増資にも応じているからです。
更には、エフェクター研の上場を会社の責任者として取り仕切ったと考えられる大和証券OBの鈴木幹雄氏が取締役に就任したのが平成13年8月ですし、株式の大幅な入れ替えが完了した平成15年3月20日の後の同年8月には代表取締役副社長に就任しているのです。
日本経済新聞によって“名うての上場請負人”なるレッテルを貼られた沼田功氏(“ゲームとしての犯罪 -19”)がエフェクター研に関与したのもこの頃でしょう。あるいは、大和証券がエフェクター研の上場主幹事を辞退した後に、ライブドア証券がかかわりはじめた頃かもしれません。

いずれにせよ、エフェクター研は、上場前にそれまでの株主を大幅に入れ替え、主幹事証券と監査法人(ともにライブドアグループ)を入れ替え、その上に、市場を東証マザーズではなく、上場審査が甘い名証セントレックスに切り替えて、大和証券OBである鈴木幹雄氏と沼田功氏とが中心になって、なんとも危なっかしい上場プランを練り上げて、無理矢理上場にこぎつけたといったところでしょうか。上場請負人の実態が浮かび上がってきたようです。

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“見たくないヘソが二つも前に立ち” -箕面、さる美人。

 

(毎日新聞、平成18年9月27日号より)

(見たくないとは言いつつも。-久しぶりに原宿と渋谷を歩いてみました。若い人が、それぞれにユニークなファッションで自己主張しているのはなかなかの見物(みもの)でした。)

 

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