疑惑のフジテレビ -号外5
- 2006.03.28
- 山根治blog
大鹿さんの記事は、2つの点で誤っています。
一つは、2月6日付の毎日新聞のトップ記事に対する批判が誤っていることです。「ライブドア株売却益/特別利益に計上/純利益黒字装う/粉飾70億円か」について、大鹿記者は、“通常、株式の売却益を特別利益に計上するのは、しごく当たり前の会計処理で、経済記者の一年生ならば誰でも知っている。もし、記事のとおりライブドアが株式の売却益を特別利益に計上していたとしたら、一般的な会計処理をしたことになる。
いったい、何を問題視したい記事なんだろう。書いた記者の不勉強ぶりと、おどろおどろしい一面トップに仕立てる毎日新聞の見識を疑う。“と一刀両断です。
このところ、テレビも新聞もいいかげんなことをタレ流していますので、ウンザリしていましたが、朝日新聞社の記者が、自社のPR誌上において、ライバルの毎日新聞の一面トップ記事に噛みつき、書いた記者の不勉強ぶりを指弾し、更にはこのような記事を一面トップに持ってきた毎日新聞の見識を疑うとまでこきおろしているのですから、尋常なことではありません。
早速、ネットから大鹿さんが問題にしている記事をひっぱり出して目を通してみました。
検察からのリークと思われる記事の内容の真偽については判りませんが、仮に、それが事実に即したものであるならば、毎日新聞の記事自体は決して間違ってはいません。この記事に限っていえば、毎日新聞は会計的にはおかしいことを言ってはいないのです。大鹿さんは何を勘違いしたのでしょうか。
あるいは大鹿さんは、
というコメントを見逃したとでもいうのでしょうか。
たしかに、ライブドアの決算書を見てみますと、第9期(平成16年9月期)と第10期(同17年9月期)の損益計算書の特別利益として、
第9期は、関係会社株式売却益 1,203,845千円
第10期は、投資有価証券売却益 2,883,506千円
関係会社株式売却益 3,069,954千円
計上されています。
これらの利益が、毎日新聞の記事の通り、ライブドアの自己株式の売却益であるならば、当然アウトです。資本取引と損益取引とを峻別することは企業会計の初歩に属することですし、自己株式の売却など資本取引の典型的なもので、損益計算書の利益として計上するなどトンデモないことです。
さあ、大鹿さん、企業会計のイロハが分かっていないと言って、大上段に振り上げたコブシをどうしますか?
誤りの二つ目は、大鹿さんの粉飾決算に対する基本的な認識が間違っていることです。
大鹿さんは、こともなげに、ライブドアの粉飾のレベルなど大したことはない、と断定し、
とまで言い切っています。
粉飾のレベルは大したことはない。せいぜい万引き程度のものだ。
と言い放っていますが、果してそうでしょうか。
(この項つづく)
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(ガキ大将 問答無用とゴブシあげ。)
-
前の記事
疑惑のフジテレビ -10 2006.03.28
-
次の記事
疑惑のフジテレビ -11 2006.04.04