109 税務戦略の見直し

****(4) 税務戦略の見直し

1、 平成5年9月に、マルサが仁義なき戦いを仕掛けてくるまでの私は、いわば優良納税者の一人であった。

毎年1,000万円以上の国税を納付し、公示の対象になっていた。以下のとおりである。



所得額(所得税額) ―

平成元年分 35,297千円(12,818千円)

平成2年分 43,870千円(17,030千円)

平成3年分 32,147千円(10,756千円)

平成4年分 35,983千円(13,049千円)

2、 マルサとの戦いは、長期になるものと予測し、収支計画と資金繰り対策とを練り直した際に、税務戦略の見直しも組み込んだ。
マルサのガサ入れがあった平成5年9月28日直後から、税務戦略の練り直しに着手し、平成5年分所得税確定申告に反映させた。源泉所得税の還付を受けることによって、事務所の資金繰りの一助としたのである。10年間の軌跡は次のとおりである。

還付金(純損失の繰り戻し還付も含む) ―
平成 5年分  8,001千円
平成 6年分  9,551千円
平成 7年分  8,718千円
平成 8年分 10,863千円
平成 9年分 10,408千円
平成10年分  9,874千円
平成11年分  8,638千円
平成12年分  7,726千円
平成13年分 11,409千円
平成14年分  6,064千円
10年間の合計 91,252千円

3、 年平均で900万円強の還付金は、地方税の負担が限りなくゼロに近くなったこととあいまって、私の資金繰りに貢献した。
臨時収入の減少見込に対しては、それに対応する経費の大幅見直しで対応したため、この面での資金繰りの帳尻はプラスマイナスゼロとなっていた。
それに、税効果ともいうべき資金が加味されたことから、かえって私の資金繰りにゆとりができた。従来、地方税を含めて少なからぬ税金を支払っていたものが、支払わなくてよくなったばかりか、逆に還付されることになったからだ。
いわば、税金のクッション効果を実感した10年であった。

4、 これに加えて、予定外の還付加算金が入ってきた。
私が脱税容疑で逮捕起訴され、税務当局が差押えをチラつかせて、私から半ば強制的に徴収していった金額は、39,100,000円であった。
平成15年3月11日の国税不服審判所の裁決にもとづいてなされた、更正処分の全面取消しによって、徴収されていた39,100,000円全額が返還されると同時に、11,820,530円の還付加算金が付加された。

5、 この10年間で税務当局から得た資金は、還付金として91,252千円、還付加算金として11,820千円、合計で103,072千円に及んだ。
私の事務所を壊滅させようと目論んだ税務当局ではあったが、こと資金繰りの面に関しては、皮肉にも少なからぬ貢献をしてくれたのである。

 

Loading