冤罪を創る人々vol.51

2005年03月01日 第51号 発行部数:329部

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「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-

日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。
マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。
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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
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●(第六章)権力としての検察 ― 暴力装置の実態

「5) 問わず語り 鬼検事・越山会会長・ウンコ男」より続く
http://www.mz-style.com/item/240

五、 「ドイツの判例」

「一つ、ドイツの判例を教えてあげよう。トルコからの移民の男が
妻を殺した。妻が他の男と浮気をしたんだね。トルコでは夫が妻の
浮気の現場をおさえて制裁のために妻を殺したとしても、何ら罪に
問われることはない。こんな女、殺して当然だと思って本当に殺し
てしまった。ところが、ドイツの裁判所はその男のことを有罪とし
たんだ。
いくら自分では罪がないと思っていても罰せられることがある訳
だ。山根の場合も同じだ。
たとえば、リクルート事件がそうだ。NTTの真藤にせよ、代議
士の藤波にせよ、本人には全く罪の意識がなかったようだ。しかし、
罪に問われているんだな。もっとも第一審では真藤は有罪、藤波は
無罪だったがね。ただ、藤波の無罪判決は、検察内部ではえらく評
判が悪いものだったね。いくら裁判では無罪でも、政治家としては
二度と再び立ち上がることはできないだろうな。
広島地検でのことなんだが、広島県内では名の知れたJAの組合
長を背任であげたことがあった。2千万円程の資金流用だった。こ
の組合長はもともと資産家で、不動産のほかに、億単位の預貯金を
持っていた。だから、使い込みする気持ちなんて全くなく、すぐに
返せばいい位の軽い気持ちで組合の金に手をつけた訳だ。本人には
罪の意識などまるでない。
「何で逮捕する前に私に一言いってくれなかったんだ。すぐに2千
万円を組合に返すから、なんとか許してくれないか。」と私に泣き
言を入れてきたが、後の祭りだ。キッチリと事件にして、起訴して
やったね。
ま、このように、自分では全く罪の意識がなくても罪に問われる
ことが往々にしてあるわけだ。山根の場合も同じだよ。」

平成8年3月5日、午前10時10分から同11時まで、松原三
朗弁護人との接見があった。私にはドイツの判例の話がよく理解で
きなかったので、松原弁護人にぶつけてみた。
「ドイツの殺人の例は、法律の錯誤の問題で、山根の場合とは全く
関係がない。検事のいいかげんな話に惑わされないように。」
これが松原弁護人のコメントであった。

六、 「粗製ガソリン脱税事件」

「ついこの間扱った事件なんだがね。粗製ガソリンを密造しては税
金をごまかして、しこたま儲けた一味が一網打尽になった。名古屋
とか大阪にも拠点を置いて、かなり手広く荒稼ぎしていたようだ。
中心メンバーが五人逮捕されて、その内の一人がオレのところに連
れてこられた。
この男、警察の捜査段階では、ちゃんと罪を認めていたくせに、
オレの前に出たら、供述を翻し、否認に転じ、知らぬ存ぜぬの一点
張りとなった。
否認などしていると当然保釈は認められない。すでに起訴されて
4ヶ月にもなるが、保釈されていない。当分駄目だろうな。他の4
人は素直に白状して認めたから、起訴と同時に保釈さ。いくら意地
を張ってみてもどうしようもないのに、馬鹿な男だ。
山根の場合も同じことだ。信念をもって全面否認をしているよう
だが、否認している限り、いくらたっても保釈はされないだろうな。
早くシャバに出て、身辺整理をしたほうがよくないか。冷静に考
えたらずっと賢明だと思うよ。
オレの前でとりあえずいったんは認めておいて、法廷で実際のこ
とを堂々としゃべればいいではないか。判断は裁判官がすることだ
し、その裁判官の前で、オレが作った供述調書を否認して、真実を
しゃべれば済むことだ。
早く保釈されてシャバに出たければ、ここでとりあえず認めたこ
とにするんだな。悪いことは言わないよ。」

日本の裁判制度において、検面調書がいったん出来上がり、それ
が法廷に証拠として提出されると、よほどのことがない限り、覆さ
れることはない。いわば検面調書の特信性については知悉していた
ので、私は敢えて反論せず、中島の饒舌を聞き流した。

(続きの「手形パクリ事件」はWebサイトにて)
http://www.mz-style.com/item/245

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●山根治blog (※山根治が日々考えること)
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「ドロボウという名のゼロ金利政策 -(2)」より続く
http://www.mz-style.com/item/241

・ドロボウという名のゼロ金利政策 -(3)

岩国哲人さんが国会でゼロ金利政策を厳しく批判した前の日、マ
イナス金利政策なるものが経済界から提言されました。

日本経済調査協議会と名乗る団体が提言したもので、この団体は、
日本経団連など経済界のシンクタンクだそうです。

“デフレ克服の一時的措置として採用し、現預金から株式や不動産、
耐久消費財などへの資金シフトを促す。金融資産に2%課税すれば
30兆円、3%で45兆円程度の税収が見込めるという。
………
財政再建のためデフレ脱却に力点を置き、「最後の手段」として
金融資産課税によるマイナス金利政策の必要性を指摘した。“
(日本経済新聞、平成17年1月27日号より)

驚きましたね。前々から、マイナス金利については個人的なレベ
ルでブツクサ呟(つぶや)いている向きがあったことは事実です。
経済アナリストもどき、あるいは経済学者もどきの戯言(たわごと)
と思って、無視してきたのですが、今度は違います。

同じ戯言であっても、経済界が裏で糸を引いているシンクタンク
が言い出したのですから、シカトする訳にはいきません。

マイナス金利。ゼロ金利であれば、金利がゼロであることにとど
まり、元金が減ることはありませんが、マイナス金利というのは、
元金にも手をつけようということです。

つまり、預金者が銀行に金利を払って預ってもらう、というなん
とも理解に苦しむことなのです。当然のことながら金利を払ってま
でも銀行に預ける人はいなくなりますので、先回りをして、手持ち
の現金(これをタンス預金といいます)に対しては金利相当の税金
をかけるというんですね。

しかも大義名分としてデフレ克服を持ち出し、“現預金から株式
や不動産、耐久消費財などへの資金シフトを促す”と言うに及んで
は開いた口が塞がりません。

株式や不動産に個人の金融資産がシフトすることは、再びバブル
経済の引き金を引くことにもなりかねませんし、耐久消費財の購入
を促すことは、まさに無駄遣いを美徳と教え込むアメリカ流の誤っ
たケインズ理論の焼き直しに他なりません。

同じ屁理屈をつけるならば、もう少しもっともらしい屁理屈を用
意すべきでしょうね。

岩国哲人さんは、ゼロ金利政策のことをドロボウと名づけました
ので、マイナス金利政策はさしづめゴウトウ(強盗)とでも名づけ
ればいいでしょうか。

ゼロ金利政策は、ひそかに国民の財産を奪うのに対して、マイナ
ス金利政策は白昼堂々と国民の財産をウムを言わさず奪っていくも
のだからです。

まさにドロボウに追い銭といったところですね。

政治は三流、経済は一流とさえ言われた日本の経済界は一体どう
なったのでしょうか。

ドロボウを超えてゴウトウ呼ばわりなどされないうちに、一流経
済人としての誇りを取り戻して欲しいものですね。

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ここで一句。

“経団連マイナス金利で高笑い” -アホウ松の逸笑。

 

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