冤罪を創る人々vol.1

2004年03月23日 第1号 発行部数:170部

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 「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-




    日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。


    マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。


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 山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ


 株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント


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●(第二章)マルサ事案の概要と結末




「1.マルサ事案」より続く


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2.脱税日本一




一、 平成8年1月26日、私は関係者3人と共に松江地方検察庁に逮捕


 され、身柄を拘束された。


  確定申告の直前ということもあってか、いわば一罰百戒のPR効


 果をねらって、公認会計士による大型脱税事件としてマスコミに公


 表され、全国ニュースとなった。


 


二、 この逮捕劇は、私の地元である山陰地方ではトップニュース扱


 いとなって喧伝された。




“公認会計士ら逮捕―不動産売買めぐり”(平成8年1月27日、朝日新聞)




“逮捕の公認会計士6億円受領か。松江地検は、この金を脱税の指南工


 作料とみている。”(同年1月30日、朝日新聞)




“6億円所得申告せず、松江地検は山根容疑者が相談料などの名目で


 6億円を受け取っていながら、所得として申告していなかったことを


 突き止めた。”(同年1月30日、読売新聞)




三、 当時私は逮捕されて松江刑務所拘置監に閉じ込められており、


 世間の様子はほとんど知ることはできなかった。接見禁止の処分が


 なされていたため、手紙を受け取ることもできないし、新聞の購読


 も許されていなかったからである。もちろん、独房にはテレビもな


 ければラジオもない。接見の出来る弁護士が唯一のニュースソース


 であった。


  ただ事務所の職員に、私の事件に関する新聞記事を収集し、テレ


 ビ番組も全て録画するように指示していたことから、現在私の手許


 には分厚い新聞記事のスクラップブックが残り、数本のビデオテー


 プが残った。それらは、松江という山陰の小都市がスキャンダラス


 な話題で騒然となったことを雄弁に物語っている。


  このとき報道にあたったマスコミ関係者は、松江地検の検事がリー


 クする嘘の事実を連日のようにタレ流し、銭ゲバの権化、脱税を手


 助けし多額の不正な報酬を手にした悪徳公認会計士として私を糾弾


 してやまなかった。




四、 NHKは、逮捕の2日前から、私の自宅近くで、ひそかに張り込


 みをし、当時、風邪のため通院していたマスク姿の私を写し、TVで


 全国に繰り返し流した。マスクをして逃げまわっているような印象


 を与えるものであった。


  事件の解説と称して、NHKの解説者がアナウンサーを相手に説明


 を始めたものの、途中で何を言っているのか分からなくなったらし


 く、言葉を失い、とり乱して、誤った解説をしてお茶を濁している


 姿が印象的であった。


  マスコミに発表している検察官自身、自分が何を話しているのか


 分かっていなかったのであろう。虚実をとり混ぜたことがらを、マ


 ルサの繰り人形と化して、よく理解できないままでマスコミに向っ


 てしゃべっているからである。




五、 新聞にいたっては、百花繚乱、各紙ともよくぞ書いて下さった


 ものである。


  連日の報道を、現時点で改めて追ってみると、前後の整合性に欠


 け、いたるところで、矛盾が露呈している。


  特におそまつであったのは朝日新聞であった。担当は、若い記者


 であったという。記事の内容が余りにもおそまつであったため、私


 の担当弁護人が朝日新聞の松江支社長に厳重に抗議をしたほどである。




六、 平成8年6月、国税当局は平成7年度査察実績(俗に脱税白書と


 いわれているもの)を公表するに際して、マスコミに向けて、私の


 ケースを法人部門で全国トップの悪質な所得隠しとして紹介している。


  平成8年6月21日付の山陰中央新報は、“法人の最高額は益田市


 畜産17億”の大見出しのもとに次のように報じた。




(続きはWebサイトにて)


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●山根治blog (※山根治が日々考えること)


http://consul.mz-style.com/catid/21






  山根治です。メールマガジン「冤罪を創る人々」の第一回目をお


 届けしました。


  「冤罪を創る人々」は、私が関与した「益田市畜産協同組合事件」


 での体験を基に、Webサイトと同時進行で順次公開していきます。




  平成5年9月28日の広島国税局の査察(俗にいうマルサ)のガサ入


 れに端を発した私をめぐる「益田市畜産協同組合事件」は、平成15年


 10月4日の最高裁の上告棄却によって一応の幕を閉じました。


  その結果、検察によって訴追された“事件”のうちの、本件につ


 いては無罪(控訴審の判決時に確定)。別件については懲役1年6ヶ月


 執行猶予3年の有罪が確定しました。


  このため、私は、執行猶予期間の3年間、公認会計士の登録が抹消


 され、30年にわたって使ってきた公認会計士の肩書を使うことができ


 なくなりました。




  マルサも検察も国家権力を象徴する存在であり、国民の生命財産に


 関する生殺与奪の権限を握る暴力装置です。法律によって強大な権力


 と権限とを与えられた暴力装置がひとたび暴走を始めたとき、自らの


 行為を正当化し、組織を防衛するためにどのような対応をしたのか、


 それぞれの立場の人物の行為を明らかにすることによって浮き彫りに


 していきます。




  なお、このあたりの事情については、以下のページにおいて触れて


 いますので、ご一読をお勧めします。




「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-(序章)


http://www.mz-style.com/item/1


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