前代未聞の猿芝居―⑯

  1. -承前①。 刺客(工作員)として重藤哲郎・広島国税局長から送り込まれた、

    が、筆者にコンタクトを取り、明らかにした内容は、まさに先に送り込まれていた刺客・伊藤秀之税理士と山持昌之主査との秘密交渉の結果ともいうべきものであった。

    平成31年3月4日、筆者の事務所で、

    1. A社の社長(平成30年12月18日のA社起訴の後の、平成30年12月27日に、オーナー社長辞任と同時に社長に就任したA社の社員。以下、A社の新社長という。)
    2. A社の経理課長
    3. 伊藤秀之税理士
    4. 弁護士(本件の弁護人)

    の四者同席のもとで、掛内典生統括官は筆者に、調査終結の手続(国税通則法第74条の11第5項)を行った。
    A社が松江地検に告発(平成30年12月17日)され、松江地方裁判所に起訴(平成30年12月18日)された2ヶ月半後のことである。
    局の査察部門が告発し、松江地方検察庁が起訴したものの、A社の課税調査について、法で義務付けられている調査終結の手続きがいまだなされていないことに初めて気付き、この期(ご)に及んで、刺客(工作員)・掛内典生統括官に指示をして、A社の唯一の税務代理人である筆者にコンタクトをとらせ、“形式的な”調査終結の手続きを踏ませたのであろう(「前代未聞の猿芝居-⑮」)。

    ここに、“形式的な”調査終結の手続きというのは、掛内典生統括官が、

    「松江税務署は、調査の開始の手続きも、調査の途中の途中の手続きである留置きの手続きもしていない」(本稿の⑰で詳述する)

    ことを自ら明らかにしているからだ。

    そもそも、調査の開始の手続きがなされていないのに、調査の終結もヘチマもあるものか。筆者が“形式的な”、つまり“形”だけと形容する所以(ゆえん)である。

    掛内典生統括官が調査結果を説明する前に、筆者は調査終結の手続以外の調査の手続に関して次のような質問を投げかけた。

    1. 調査開始の手続(国税通則法第74条の9)は、いつ、誰が、どのように行ったのか。
    2. 留め置き(国税通則法第74条の7)は、いつ、誰がどのように行ったのか。
    3. 留め置きされた証拠物件はどのようになっているか。査察調査で押収・領置された証拠物件は、どのようになっているのか。
      現在、証拠物件(留め置き物件と押収・領置物件)の現物はどこにあるのか。松江税務署にあるのかどうか。

    筆者の上記質問に対して、掛内典生統括官は一瞬たじろぎ、

    「即答はできない。松江税務署に帰って調べた上で回答する。」

    と応じ、早々に会合を切り上げてしまった。

(この項つづく)

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