『大義名分なき公共事業』-大手前道路、大橋川改修、八ッ場ダム-6

 弊社主任コンサルタント山根治が講演した「大義名分なき公共事業 -大手前通り、大橋川改修、八ッ場ダム」についての講演内容を、数回に渡って「山根治blog」にて公開いたします。
***【講演会】「大義名分なき公共事業 -大手前通り、大橋川改修、八ッ場ダム」
-日時: 平成22年1月23日(土)13時35分~
-場所: 島根県民会館307号室 (島根県松江市殿町158番地)
-講師: 公認会計士 山根治

第一回: 『大義名分なき公共事業』-大手前道路、大橋川改修、八ッ場ダム-1



***【4.街づくりについての考え方の検証】

 次に具体的な事例を取り上げて、なぜそのようなことが言えるのか申し上げたいと思って書いたのが、レジュメの4番目です。

 これはひとつの歴史の検証と思ってください。

 このような人達、つまり“だんさんもどき”がいったい何を考え何をしてきたか、具体的には、町おこし、国造り、そういう視点から私達多くの地域住民が取り組んできた淡水化反対運動、干拓反対運動、これに対して、この人達が何をやったか、その真実を改めて明らかにしたいと思います。

 このレジュメで淡水化と干拓推進の論理としていますが、この人達はこれらについてどう言っていたか。先ほど申し上げましたように、この人達は自分達の利害、損得、利害得失によって、勝手気ままに意見を変えてしまう人達であるということです。

 いわば定見なきカメレオンということです(笑)。実は私生まれがよくありませんから、品のいい言葉なんて使うことができません。そこで定見なきカメレオン。定見なきカメレオンの具体例として、1から6まで示しました。

 この話しをする前に、一言申し上げますが、これは決して個人に対する批判ではありません。個人的な誹謗中傷ではない。人格的には、それぞれ立派な方であろうかと思いますよ。しかし、こと、この地域、あるいは、街づくりに関して、この人達が何を言ってきたか、どんなことをしてきたか、ここに焦点を合せて今から検証します。
 現在中断している大橋川改修、あるいは現在進行中の大手前道路にしても、このような人達が地域住民を隠れ蓑にして、ムダなインチキ公共事業推進のイニシアティブをとっていますので、これまで何を言い、どんなことをしてきたかの検証をする必要があるのです。
 参考資料の4から6を見ていただけませんでしょうか。4から6。

 4は先ほど紹介した漫画、中藤俊雄さんの「出雲ふとど記」という造語に感心して漫画にした宮岡という人物は、神戸市の助役から松江に来て、何をやろうとしたか。中海1,400ヘクタールほどあるんですが、単に干拓しても、水面下4mの土地では利用価値がない。だったら干拓ではなく埋め立てをせよと言った。埋め立てをするんだったら何百億円、場合によっては千数百億円の金がいる。
 ところが、埋め立てをするにあたって、そのような大金がいらないどころか、儲かるアイデアがあるということを言い出した。それは何か。ここをゴミ捨て場にしたらいいと言い出したんですね。ゴミ捨て場。産業廃棄物の埋立場にしようと。これを冗談ではなく本気で言い出した。
 とんでもないことなので、何を言っているんだと、私、非常にびっくりしたんですけれども、ところがこれに待ってましたとばかりに、飛びついた連中がいた。先ほど申し上げた”だんさんもどき”です。
 自分達の利益のために、自分達さえよければ、地域のことなどどうなってもいいという考え方の人達がこの人物の尻馬に乗った。今まで言ってきたことを、クルリと180度変えて言い出した。このことについては、私達が15年ほど前に作った総研情報の特集号でまとめております。街づくりの会の方に25部ほど贈呈いたしましたので、もしご希望の方はこれをお求めになってください。
 この特集号の中で、私も記事を書いています。そこの中から拾ったものでございます。
 特に県知事選挙の直前でございましたので、中海干拓問題を中心テーマにしてもらおうということで、2人の立候補予定者にも記事を書いてもらった。
 賛成論者、反対論者、それぞれの立場で自由に議論していただこうということで記事を募った。ところが、何回言っても、賛成をしている側から記事が出てこない。中海の本庄工区をゴミ捨て場にしてもいい、あるいは埋め立ててもいいと言っている、賛成する側からは、いくらお願いしても記事が出てこなかった。
 しょうがないから賛成論者抜きで特集号を出したんですけど、そういういきさつがあった。
 結局、さきほどの件に戻りますと、もともと地域の商工会議所も、商工会も、経済同友会も、淡水化の見込がなくなった、淡水化の事業と干拓の事業とは表裏一体のものだから、淡水化がやめになるんだったら、当然のことながら干拓もとりやめにするべきだという意見でずーっと来ていたんですね。
 そういう流れになっていたのが、このブルドーザーに乗った怪しげな男が松江にやってきましてですね(笑)、非常にドラスチックなことを言い出した。干拓ではなく埋立てにしたら1,000億円ほど儲かると吹聴した。土地ができた上に1,000億円も儲かるんだったら、それに越したことはないと言って飛びついたのが、この人達なんです。
 具体的に何を言ったのかは、次の参考資料の5(【講演会】 大義名分なき公共事業 -大手前通り、大橋川改修、八ッ場ダム : 参考資料)にあります。

 参考資料の5。宮岡寿雄市長、この時はまだ市長をやっていましたからね、これを私はまとめました。新聞記事だけでなくて、松江の市議会の議事録、全部眼を通しました。この宮岡さんが何を言ったか、本気になって市議会でこんなとんでもないことをぶち上げた。参考資料の5が宮岡さんが言っていたことの要約です。
 これは議事録ですから、正式なものから持ってきています。単なる噂話ではありません。

 それともう一つ、資料6(【講演会】 大義名分なき公共事業 -大手前通り、大橋川改修、八ッ場ダム : 参考資料)。6で出しているのは、この干拓問題についての松江商工会議所の見解。
 (その一)として出しているのは、宮岡さんが出てきてからガラッと豹変した会議所の立場です。
 (その二)では、それまで住民運動の流れでしょうがなくて、渋々ながら淡水化は断念せざるをえないというような立場から干拓もダメだと言っています。これは大谷昌行という人が新聞社のインタビューに応じて喋っていることです。
 埋め立てにした上に、儲かるときたから飛びついた、というのが(その一)の立場です。
 この大谷昌行、それから皆美健夫さん、山本隆志さん。この人達は、もともと淡水化も反対で、干拓もやめた方がいいという意見だった。ところが、もう少し詳しく説明しますと内実は違っている。淡水化反対運動を常に潰そうとしたのが実はこの人達でした。
 ただ、住民運動があまりにも盛り上ってきた。特に法的な意味合いを持つ景観保全条例の制定運動があって、地域の有権者の43%が署名した。そうしたら自民党内が大騒ぎになって、これじゃあ選挙に負けるということで、やむなく淡水化の推進を引っ込めたといういきさつがありました。
 もともとこの人達は淡水化を何がなんでもやりたかった。ところが、引っ込めざるをえなかった。そういう経緯がございます。

(この項つづく)

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 ここで一句。

“ダウン着てマフラー巻いてオープンカー” -西宮、寺田稔。

(毎日新聞、平成22年2月5日付、仲畑流万能川柳より)

(パチパチ-拍手の音です。鼻ピアス、腰パン、シャツ出しルックのスノーボーダーと同列の、当世風傾(かぶ)き者)

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