歴史的文化財の破壊と談合疑惑 -2
- 2008.09.09
- 山根治blog
「目は口ほどにものを言い」
とか、あるいは、「目は心の窓」とも言われています。内に秘めた思いは目に表われ、口で発する言葉以上に雄弁に物語る、というほどの意味合いです。
お金、あるいは広く数字といってもいいでしょうが、これらについても同じようなことが言えるようです。「お金とか数字は隠された真実を雄弁に物語る。」ということです。
無機質のように見えるお金や数字ですが、扱い方によっては真実を浮き彫りにすることがあるのです。
一般に談合は二つの側面を持っています。一つは、業者同志が入札の前に集って落札業者を決めることですし、今一つは、役人が落札予定価格を事前にこっそり漏らすことです。この二つが一体となって実際の談合がなされているのが現実です。役人が不正に漏らした情報(落札予定価格)をもとにして、業者がひそひそ話し合いをするということです。
この二つの行為は、共に密室でなされ、闇から闇へと消えていくものですから、談合を行った当事者しか知る者はいません。たしかに、談合行為自体は全く痕跡(こんせき)を残さないとしても、入札という事実がある以上、次のような客観的な数字が残ります。
+入札希望価格 (事前に公表)
+落札予定価格 (秘密、事後に公表)
+入札額 (参加業者全ての入札実績)
+落札額 (3.のうちの最安値をつけた業者)
+入札参加者の数
+入札の回数
現在、一般に用いられている談合疑惑のモノサシは、落札率、つまり、
-落札額(上記の4.)を
-落札予定価額(上記の2.)で
割った比率とされています。
ということです。
全国市民オンブズマン連絡協議会は、この落札率が、
-90~95%のものを、『談合の疑いがある』とし、
-95%以上のものを、『談合の疑いが極めて強い』として、
全工事中90%以上で落札された件数の割合を算出し、「談合疑惑度」と名づけています。
かつては、全国的にこの落札率が限りなく100%に近いケースが多く(ほとんどといってもいいでしょう)見受けられたのですが、談合の摘発が厳しくなってから比率が下がりはじめ、最近では全国平均で83.5%(平成18年度:2006年度)となっています。(06年度公共事業落札率調査)
ちなみに、島根県は90.7%(都道府県で談合疑惑度ワースト4位)、松江市は89.9%(県庁所在地で談合疑惑度ワースト10位)となっています。落札率のベストは長野県で、73.2%です。
寄せられてきた談合疑惑は、総事業費39億円とされる松江市歴史資料館の建設事業のうちの建築主体工事でしたので、この落札率がどうなっているかを見てみますと、なんと
でした。(入札結果詳細:松江市歴史資料館(仮称)建築主体工事)
つまり、落札予定価額が1,264,744,000円であるのに対して、落札額は1,260,000,000円だったのです。
松江市の平均落札率の推移を見てみますと、
-平成14年度 99.2%
-平成15年度 97.3%
-平成16年度 97.7%
-平成17年度 95.4%
-平成18年度 89.9%
となっており、次第に改善の方向に向っていますが、この99.6%という値は、最悪であった平成14年度平均の99.2%さえ超えています。尚、平成14年の落札率は県庁所在地平均で91.3%、その中でも99%を越えているのは松江市だけです。
以上、全国市民オンブズマン連絡協議会が定めた基準を用いるとすれば、松江市歴史資料館の建築主体工事の落札率である、
という値は、95%をはるかに超えており、限りなく100%に近いものですので、『談合の疑いが極めて強い』ということになります。
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ここで一句。
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