ゲームとしての犯罪 -12
- 2006.07.18
- 山根治blog
前回の話を表にまとめ、1.~7.までの取得価格(基準日時点における株主の買いコスト)を計算してみますと、次のようになります。
***<表8>被害者の持株の買いコスト
^^t
^cc”^時期
^cc”^持株数(千株)
^cc”^割合
^cc”^株数(千株)
^cc”^単価(円)
^cc”^買いコスト(千円)
^^
^1.上場前
^rr”^122,400
^rr”^5%
95%
^rr”^6,120
116,280
^rr”^0.13
500
^rr”^795
58,140,000
^^
^2.上場時
^rr”^30,000
^rr”^10%
90%
^rr”^3,000
27,000
^rr”^200
500
^rr”^600,000
13,500,000
^^
^3.公募
^rr”^80,000
^rr”^80%
20%
^rr”^64,000
16,000
^rr”^646
500
^rr”^41,344,000
8,000,000
^^
^4.公募
^rr”^60,000
^rr”^80%
20%
^rr”^48,000
12,000
^rr”^637
500
^rr”^30,576,000
6,000,000
^^
^5.MSCB
^rr”^268,947
^rr”^100%
^rr”^268,947
^rr”^500
^rr”^134,473,500
^^
^6.ストックオプション・交換
^rr”^116,624
^rr”^100%
^rr”^116,624
^rr”^500
^rr”^58,312,000
^^
^7.堀江貴文売却分
^rr”^56,629
^rr”^100%
^rr”^56,629
^rr”^500
^rr”^28,314,500
^^
^cc”^計
^rr”^734,592
^
^rr”^734,592
^
^rr”^379,260,795
^^/
つまり、734,592千株の買いコストは、合わせて3,792億円ということになります。基準日(平成18年1月16日)における22万人の一般株主の株式の購入原価の総額が、3,792億円ということです。
次に第二のステップ。ライブドアあるいはその関係者が多くの一般投資家から騙しとったお金が、現在どこに、どのような形で存在しているのか明らかにします。
まず、ライブドア及びグループ会社内。“タマリ”としては一番多く残っているところです。ライブドアとグループ各社の純資産を査定することになるのですが、外部に公表されている資料だけを頼りに査定するわけですから、当然のことながら大雑把な推計にとどまります。
私はこの推計をするに際して、ライブドアの上場会社としては最後のものとなった第10期(平成17年9月期、平成17年12月27日提出)の有価証券報告書を利用いたします。
この10期は、ライブドアが多くの会社を買収することによって、急激に企業規模を拡大したときであり、ライブドアを中核として、子会社44社、関連会社5社に達しています。
このため、連結決算ベースで見てみますと、グループの総資産は、前期の1,002億円から、3,302億円へと実に3倍以上にも膨れ上がっています。
ところが、この水ぶくれの中味をよく見てみますと、増資(リーマン・ブラザーズの800億円のMSCBの株式転換によるものと、フジテレビへの第三者割当増資440億円。これに長短の借入金の増減を加味したものが、キャッシュ・フロー計算書に示されています。「財務活動によるキャッシュ・フロー」1,146億円(有報、P.62)。)の他に、ライブドア証券株式会社が連結に組み込まれていることが主な原因であることが分かります。
証券会社は、どこでもそうなのですが、顧客から預っているお金とか株などがありますので、決算書の上では同じような金額が資産と負債の双方に計上されており、バランス・シートの上では、いわば水ぶくれの状態になっているのです。
つまり、第9期と較べて、連結ベースで2,300億円だけ総資産が増えたのは、増資で1,240億円、ライブドア証券の水ぶくれ分約1,000億円で説明がつくことになります。
このことは、ライブドアグループの資産の査定をするには、ライブドア本体だけに注力すれば十分であることを意味します。連結の純資産額1,936億円と単体の純資産額1,794億円の差額は142億円なのですが、この額はライブドアがフジテレビからチョロまかした金額におおむね相当するものですので、企業規模が大きくなったからといって、子会社群はいわば張り子の虎のようなもの、あるいは、枯れ木も山のにぎわいといったところでしょう。
従って、連結ベースの財務諸表は重要なデータを提供してくれるものではありますが、これから私は、ライブドア本体の決算書(P.96~P.99)を中心に、基準日において、どのくらいの資産が会社に残っているのか考えていくことにいたします。
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(もちろん恋です。50歳以上の女性に、お嬢さんと呼びかけ、言われた女性が喜んでいる現実! このところ、みのもんた氏に感心することしきりです。)
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