冤罪を創る人々vol.100

2006年02月14日 第100号 発行部数:541部

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「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-
http://consul.mz-style.com/catid/11

日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。
マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。
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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
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●「引かれ者の小唄」 ― 勾留の日々とその後
http://consul.mz-style.com/catid/41

「房内放送 -その1」より続く
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7.房内放送 -その2

“ピンポンパンポーン! みなさん、おはようございます。今日の
ラジオ番組のご案内をいたします。“

房内放送の番組案内である。休庁日(土日祝祭日)には、朝7時
45分の点検後に、番組案内が2回繰り返して流される。

平成8年8月4日(日)の房内放送プログラムは次のようなもの
であった。

09:00 やったぜ、あつあつスポーツ
09:30 平成歌謡商店
10:00 裕司と雅子のがばっといただき60分
11:00 音楽の風車
12:00 ニュース
12:15 NHKのど自慢
13:00 全国歌謡ベストテン
14:00 山下達郎のサンデーソングブック
15:00 中村正人のサンデーネットワーク
16:00 福山雅治のトーキングFM
17:00 サウンド・アドベンチャー(松任谷由美)
18:00 あなたのための税金相談(スポンサーは国税庁)
18:15 プロ野球中継
20:50 プロ野球中継打切り

休庁日は、起床時間が平日より30分遅く、7時半である。
平日の場合は、7時になると『起床!』の号令と共に、天井の螢
光灯がパッとつくのであるが、休庁日は様子を異にする。起床時間
である7時半になると、房内放送から軽やかな音楽が流れてくる。
一分間位音楽が流れたころに、天井の螢光灯がつく。『起床!』の
号令があるときとないときがあり、この8月4日の日曜日には号令
が発せられることはなかった。
号令が発せられるときであっても、平常日と違って間延びしたよ
うな発声であり、声のトーンが抑えられている。いずれにせよ休庁
日の朝はゆったりとした雰囲気の中でスタートする。休息日に対す
る、官の側の思いやりなのであろう。

朝は6時頃から眼はパッチリとあいている。なにせ、夜の9時に
は強制的に就寝させられているわけで、いくら寝坊の私でもそんな
に長く眠っているわけにはいかないのである。
しかし、7時半にならなければフトンから起き上がることができ
ないし、フトンの中で本を読んだり、ノートにメモなどしてもいけ
ないことになっている。
一度だけ起床時間前に、裁判関係のことでハッと思いついたこと
があって、忘れないようにと、フトンの中で腹ばいになってノート
にメモをとっていたことがあった。看守に見とがめられてカミナリ
を落とされ、独房から引っ張り出されて取調室に連行され、叱責処
分に付された。判決が確定するまでは無罪が推定されている私のよ
うな未決囚に対して、何故このようなことまで規制をしなければい
けないのか、今もって理解できない。理不尽である。

朝の音楽が流れてくると直ちにフトンを上げる。時計がないので、
起床合図の音楽が流れるのを今か今かと待っているのである。整理
整頓をして洗面。
他の房の住人も、私と同じようにこの朝の音楽を待ちかねていた
のであろう。拘置監全体が音楽と共に一斉に動き出すのである。

あちこちの房から派手に水道の水を流す音が聞こえ、ガラガラ、
ゴーと、うがいをする音がにぎやかに響いてくる。夜の9時から、
朝の7時半まで、10時間半もフトンにしばりつけられていた反動
からであろうか、あるいは解き放たれた開放感からであろうか、拘
置監が一種独得の活気にあふれた雰囲気に包まれるのである。

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●山根治blog (※山根治が日々考えること)
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「疑惑のフジテレビ -3」より続く
http://consul.mz-style.com/item/479

・ 疑惑のフジテレビ -4

前回私は、フジテレビがライブドアにオモテ社会の太鼓判を押し
た、と申し述べました。
このことが、一体何を意味するのか、具体的に考えてみることに
いたします。

平成17年4月18日、フジテレビとライブドアは、3ヶ月にわ
たるスッタモンダの大騒動の末に、突然世間をアッと言わせるよう
な和解をいたします。
この和解はあきれるばかりの茶番劇でした。サラリーマン経営者
であるフジテレビ経営陣が自らの保身を考えるためでしょうか、
440億円もの会社の金を気前よく使って、ライブドアというチン
ピラ・ギャング団と衆人看視の中で手を結んだのですから、前代未
聞の不祥事といってもいいでしょう。

和解の骨子は、フジテレビが、

1.ライブドア側が所有しているニッポン放送株を高値で引き取る
こと、
2.ライブドアの440億円の第三者割当増資に応ずること、

この2つでした。

1.については、株式の買取価額に若干の問題点はあるものの、
フジテレビの経営陣の裁量の範囲内であり、とりたてて大きな問題
はないとしてもいいのかもしれません。

問題なのは2.です。
日枝会長は、東京地検特捜部による摘発のあとになって、開き直っ
て、

“だまされたということです。あんな会社だとは思わなかった。増
資に応ずる前に会計事務所に依頼して資産の査定(注.デュー・デ
リジェンスのことのようです)もしているんですから。”

と、弁解しています。このような弁解が果して通るものなのでしょ
うか。とても通りそうにありません。
このような言い訳は、当初の440億円の第三者割当に応じた経
営判断の重大な誤りに、更に誤りを加えるものであるといえるでしょ
う。誤りに誤りを重ねる愚行とでも言えるでしょうか。

何故か。
440億円という巨額の出資は、フジテレビでなくとも経営上極
めて大きな問題です。そのためでしょうか、あるいは後日経営責任
を問われるときに備えた、いわば免罪符のためでしょうか、フジテ
レビは内部での検討にとどまらず、外部の専門機関にライブドアの
調査を依頼しています。
4月18日に和解の基本合意がなされてから増資の払込期日とさ
れた5月23日までの間に、フジテレビはライブドアについて
デュー・デリジェンスを実施することが、基本合意書の中に明記さ
れていました。

デュー・デリジェンス(以下、デューデリと略します)。

これは、企業買収(M&A)をしたり、あるいは増資とか社債を
引き受けたりする際に行なう事前調査のことです。企業が重要な経
営判断をする場合に、相手方の実態を把握し、問題点の有無を洗い
出すために、専門家(弁護士とか会計士など)に依頼して調査をす
ることをデューデリといっています。

日枝会長は、

“会計事務所に頼んで資産の査定をしてもらった。”

と言っているようです。これがデューデリのことであるのか今のと
ころはっきりしませんし、具体的にどのようなデューデリがなされ
たのか明らかにされていません。

一般にデューデリという場合、資産の査定はもちろん重要な項目
ではあるものの、これにとどまるものではありません。通常、3つ
の観点から企業の実態に迫り、問題点を洗い出すものとされていま
す。つまり、

1.事業の実態
2.財務の実態
3.法的問題の有無(コンプライアンス-法令遵守)

の3つの観点からデューデリがなされます。
これらの3つは、それぞれが独立したものではなく、相互にから
みあっていますので、便宜上3つの切り口があると考えたほうがい
いでしょう。
日枝会長が口にした資産査定は、上記の「2.財務の実態」の一
部を構成する項目にすぎません。ライブドアの場合には、「3.法
的問題の有無(コンプライアンス)」がとりわけ重要な項目であり、
その重要性は、昨年の和解の合意がなされた4月の時点で、十二分
に判っていたことなのです。

<付記>
テレビ井戸端会議(2月12日、テレビ朝日のサンデー・プロジェ
クト)で、フジテレビのデューデリについて、公明党の冬柴幹事長
が、『別々の2つの専門調査機関が1ヶ月もかけて徹底的に行った』
と言っていました。

(続きはWebサイトにて)
http://consul.mz-style.com/item/482

 

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