ホリエモンの錬金術 -15
- 2005.06.21
- 山根治blog
作家の安部譲二さんによれば、犯罪者が練り上げる犯罪プランのことを絵図(えず)といい、そのプランナーのことを絵図師(えずし)というそうです。
絵図師ホリエモンが描いた、あるいは現在描いている絵図とはどんなものでしょうか。
私は、これまで絵図のスタート(インチキ上場)と途中のプロセス(増資による資金集め、粉飾決算、株式分割)について詳しく述べてきました。
では、ホリエモンの絵図の終着とは何でしょうか。ホリエモンの好きな「想定内」という言葉を使えば、絵図が想定内においている終着点とは何でしょうか。
尚、私はこれまで、何の説明もつけずに「ホリエモン」という言葉を使ってきました。ホリえもんというのは、堀江さんの少年の頃のニックネームだそうですが、おそらくマンガのドラえもんからきたものでしょう。
ドラえもんは、ドラ猫のロボットですから、ドラ+右衛門といったところです。
しかし、私が使ってきたホリエモンは、これとは全く異なり、堀江+者(もん)を念頭に置いています。
ヤクザ者(もん)とか、半端者(はんぱもん)などに使われる者(もん)のことです。
ドラえもん(ドラ右衛門)とか、1000年も続いた悪の名門猫じゃらし家の当主、猫じゃらし左衛門丞(さえもんのじょう)のような愛すべきキャラクターとは似て非なるものであり、敢えてホリエモン(ホリえもんではなく)と言ってきたのです。決して愛称として使っているのではありません。
そうです。
とのこと。
愛称ではなく、堀江+者(もん)と冷ややかに考えている私のような者がいることもお忘れなく。
閑話休題―。
東京大学に入学したことによって天下が自分の思い通りになると錯覚している天才的絵図師の究極の絵図とは何か。
世界一の金持ちとか、宇宙計画といったゆめのようなことをぶちあげ、ITとメディアと金融のコングロマリットを創り上げるなどというのは、勿論絵空事にすぎません。
それは、エネルギーの補給をせずに永久に動き続けるモーターだとか、不老不死の薬だとか、あるいは相当以上に顔の造りがよくない女性でも絶世の美女にヘンシンさせる化粧水とかいった類のもので、大道香具師(やし)の口上と何ら変るものではありません。
スタート時点で詐欺的な行為を行なって創り上げた組織は、砂上の楼閣に等しく、いくら規模が大きくなろうともホンモノになることはないでしょう。
このことはホリエモン自ら、十分に認識しているはずです。
では、堀江者(ホリエモン)が想定内においている絵図とは何か、また彼が考えている落としどころは何でしょうか。
それはどのような手段を使ってでも株価をつり上げ続け、時価発行増資を繰り返して会社の中に株主からの資金をどんどん取り込むことです。
勿論違法であろうとお構いなしです。ともかく、資本としてどんどん会社にお金を取り込めばいいのです。
時価発行増資を繰り返していけばいくほど、ホリエモンの絵図は完成に近づくしくみになっています。何か派手な仕事をしているように見せかけて話題をつくり、つり上げた株価のもとで時価発行増資を繰り返すだけでいいのです。
このたびのドタバタ劇Much ado about empty moneyの発端となったリーマン・ブラザーズからの特殊な条件のついた転換社債MSCBも、時価発行増資と同じようなもので、ホリエモンとしては、フジ・サンケイグループとの交渉がどのように決着しようとも、800億円のCBを発行した時点で絵図の上では十分にソロバンが合っていたのです。基本的には勝っても負けてもどうでもよかったのです。
そのソロバン勘定とは何か。ホリエモンの持株に焦点を当てて考えてみましょう。
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(カネがカタキの世の中で、お金によって返り討ち。)
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