冤罪を創る人々vol.27

2004年09月21日 第27号 発行部数:244部

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 「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-



    日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。

    マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。

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 山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ

 株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント

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●(第六章)権力としての検察 ― 暴力装置の実態



「(5) 捏造された勾留理由」より続く

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(6) マスコミ報道の実態



一、 平成8年1月26日の逮捕を待っていたかのように、マスコミ

 各社は、全国版で、検察当局が捏造した犯罪を、あたかも確定した

 事実であるかのように一斉に報道した。



二、 大半のマスコミが、検察側の発表もしくはリークにもとづいて

 報道しており、マスコミ独自の判断を放棄した検察側情報のタレ流

 しに終止した。



三、 マスコミによってなされた荒唐無稽な報道の極めつけは、私が

 脱税報酬として6億円を受け取ったというものである。その上更に、

 相手方の佐原良夫に対して4億円の脱税協力金を支払ったというお

 まけまでついていた。

  検察が発表した脱税額は6億円余りである。すると、組合は、6

 億円余りの脱税をする為に、私に6億円の脱税報酬を払い、更に佐

 原に4億円の脱税協力金を支払ったことになる。

  6億円余りの脱税をするために、都合10億円の謝礼金を支払う、

 ― 誰が考えてもありえないことだ。

  このような荒唐無稽な報道を、朝日新聞を皮切りに、毎日新聞、

 読売新聞、サンケイ新聞等、一流と目されているプレスが行ったの

 である。



四、 社会の木鐸を自任していたはずの新聞は、一体どこに行ってし

 まったのであろうか。いつから、検察の手先となり、冤罪事件の片

 棒をかつぐようになったのか。

  このようなことは、良識とか常識以前の問題ではないか。





(7) 本件逮捕

 

一、 平成8年2月16日、午前8時半ごろ、一番に風呂に入らされ

 た。この日、検察庁に行く予定という。

  午前9時半、松江地検に連行され、本件の法人税法違反容疑で再

 逮捕される。

  午前10時9分、被疑者弁解書なるものを作成。

 「全て検察の捏造であり、いいがかりである。当然、無罪である。」

 と申し向け、署名指印。



二、 「君達は、こんなごまかしをよくやるね。検事としての誇りが、

 君達にはあるのか。恥を知れ。」

 ― 私は、検事中島行博を睨みつけた。中島も負けじとばかり、睨み

 返してきた。両腕を組んで2分位睨み合っていたであろうか、その

 うち中島が目をそらした。



三、 この日のノートには次のように記されている。



「事務所がどうなるか。今、確定申告の時期だ。脱税の報道は全国的

 に大々的に流されるだろう。事務所のことをどうするか。真剣に考

 えるときが来たかもしれない。わが事務所は、これで駄目になるか

 もしれない。どうするか。わが人生をどのように立て直すか。

  今日はどっと疲れがでたようだ。昨日の起訴、今日の再逮捕。と

 もかく今日は早く休んで体力を回復させることだ。今日は取り調べ

 がないだろうが、仮にあっても、疲れたと言って拒否しよう。早く

 横になりたい。もうすぐ6時である。

  担当の看守が、オーキューバン(バンソーコー)を一枚くれた。

 『明日から休みになるので、一枚入れておくわ。』うれしかった。

 このところ一寸でも親切にされると、すぐ涙が出る。涙腺がゆるみっ

 ぱなしである。この若い看守もこのごろ少していねいになった。人

 の情けを忘れてはならない。このような究極的な生活をしていると、

 特に身に沁みる。

  今日は取調べがなかった。」





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●山根治blog (※山根治が日々考えること)

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「スケコマシ」考-その1より続く

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・「スケコマシ」考-その2



  中江滋樹氏のまわりには、ユニークとしか言いようのない人物が

 かなり集まっていました。その中でも、ピカ一であったのがS.S

 なる人物でした。



  広辞苑の説明では納得できませんので、我が家にある一番デッカ

 イ“日本国語大辞典”(小学館)にあたってみました。これには、



“スケコマシ”-「女をものにすることをいう。てきや仲間の隠語。

        (隠語全集)」



 とあり、もともとテキヤ(大道商人)仲間の言葉であったことまで

 は分かったものの、広辞苑と五十歩百歩で、どうも今ひとつピンと

 きません。



  それではと、新明解さんをひいてみたところ、スケコマシはなかっ

 たものの、スケ(助)の項目の中にそれらしき説明を見つけること

 ができました。



“スケ(助)”-「[やくざ仲間などで]情婦の称。[広義ではカモに

         なる女性を指す]」



  スケ(助)とは、「カモになる女性」のことだというのですね。

 カモをわざわざカタカナで記し、スケの意味の一つを、自信をもっ

 て「カモになる女性」であると言い切っている以上、必ずや自らも

 「カモ」の意味を説明しているに違いないと考えて、カモの項目を

 ひいてみました。ありましたね。



“カモ(鴨)”-「御(ぎょ)しやすい相手や、いいもうけの対象と

         して利用される相手。」



  ここまできて、私のイメージする「スケコマシ」像が明確な言葉

 として表現できそうになりました。

  つまり、スケコマシのスケとは女性のことで、しかも男に貢いで

 くれる女性を指すようですし、コマシとは、コマス男のことで、コ

 マスとはやっつけるとか、征服するというほどの意味を持っている

 俗語であるようです。

  従って、スケコマシとは、女性に身体だけでなく金銭をも貢がせ

 る男、ということになるのでしょう。



  プレイボーイのように、自分から女性に奉仕し、貢ぐイメージも

 なければ、女たらしのように、美貌を武器にして女性をものにして

 いくといったイメージもありません。

  風采の上がらない、決して二枚目とはいえないプータローが、ハ

 イソでセレブな女性をゲットして少なからぬ金銭を貢がせる、-こ

 れは誰にでもできることではなく、ことの善悪をしばらく措いて考

 えてみれば、匠(たくみ)の技とでも言えるかもしれません。



  スケコマシS.S氏が一人の女性を伴って私の前に現れたのは、

 女性の親族の税務相談のためでした。

  当初は、S.S氏がスケコマシで、その女性がスケであることな

 ど知りませんでしたので、余りに不釣り合いな二人に不自然さを覚

 えただけでした。

  その後この二人と何回か会い、またS.S氏を紹介してくれた中

 江滋樹氏から詳しい話を聞くに及んで、二人の関係が分かってきま

 した。



  この女性は二十歳半ば過ぎの独身で、日本の名門といわれる一族

 の後継者でした。祖父は、政治の世界で大臣までやった著名な人物

 で、ある金融機関の創設に携わり、長い間そこの代表をつとめ、そ

 の代表の座はその女性の父にバトンタッチされていました。

  祖父はまた、現在は世界的な会社になっている有名企業の創立者

 の一人で、大株主でもありました。

  その女性は、美人とは言えないまでも十人並の器量で、決して資

 産家のパープリンなどではなく、かなりのインテリジェンスの持ち

 主でした。



  この女性は、S.S氏の3人のスケの一人で、彼女がどれだけの

 ものを貢いだのかは分かりません。おそらくは億単位のものであっ

 たろうと思われます。

  S.S氏は、軽薄とか浅薄という言葉で形容するしかないような

 人物でしたが、どこか憎めないキャラクターを持っていました。今、

 彼が元気であれば、五十歳半ば位でしょう。どこで、どのような暮

 らしをしているのか興味がありますね。



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 ここで一句。



   “名の通り秘密あるから秘湯なの”-長野、小言居士

          (毎日新聞:平成16年9月3日号より)



(天下の秘湯、白骨温泉が入浴剤を入れていたことから大騒ぎになり

 ました。スケコマシにも、入浴剤ならぬ秘技といったものでもある

 んでしょうね。)

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