049 本件逮捕
- 2004.09.21
- 冤罪を創る人々
****7) 本件逮捕
一、 平成8年2月16日、午前8時半ごろ、一番に風呂に入らされた。この日、検察庁に行く予定という。
午前9時半、松江地検に連行され、本件の法人税法違反容疑で再逮捕される。
午前10時9分、被疑者弁解書なるものを作成。
「全て検察の捏造であり、いいがかりである。当然、無罪である。」と申し向け、署名指印。
二、 「君達は、こんなごまかしをよくやるね。検事としての誇りが、君達にはあるのか。恥を知れ。」
― 私は、検事中島行博を睨みつけた。中島も負けじとばかり、睨み返してきた。両腕を組んで2分位睨み合っていたであろうか、そのうち中島が目をそらした。
三、 この日のノートには次のように記されている。「事務所がどうなるか。今、確定申告の時期だ。脱税の報道は全国的に大々的に流されるだろう。事務所のことをどうするか。真剣に考えるときが来たかもしれない。わが事務所は、これで駄目になるかもしれない。どうするか。わが人生をどのように立て直すか。
今日はどっと疲れがでたようだ。昨日の起訴、今日の再逮捕。ともかく今日は早く休んで体力を回復させることだ。今日は取り調べがないだろうが、仮にあっても、疲れたと言って拒否しよう。早く横になりたい。もうすぐ6時である。
担当の看守が、オーキューバン(バンソーコー)を一枚くれた。手の指にケガをしていたのである。
『明日から休みになるので、一枚入れておくわ。』うれしかった。このところ一寸でも親切にされると、すぐ涙が出る。涙腺がゆるみっぱなしである。この若い看守もこのごろ少していねいになった。人の情けを忘れてはならない。このような究極的な生活をしていると、特に身に沁みる。
今日は取調べがなかった。」
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