020 その後― (1)

****6)その後 ― (1)

一、 平成5年10月27日、午後1時から同2時50分まで、山根ビル一階の島根総合研究所サロンにて、益田市畜産協同組合の人達6人と、今後のマルサ対策について話し合った。同席者は、職員小島泰二。

 

二、 皆の了解を得て、テープで録音することにした。組合の人達の証言が、マルサの口車に乗って二度とぶれることがないようにするためであり、仮にぶれた場合でも、私と皆の前で話したことを明確に残しておけば安全であると考えたためである。

 これに加えて、何をするか分からないマルサのことであるから、皆で寄り集って口裏合わせをしたとか言って、難クセをつけないとも限らず、口裏合わせなどしていないことを後で証明するためにも、録音して残しておく必要があると考えたのである。



三、 案の定、私達をマルサの口車に乗って逮捕した検察は、この時の会合について、口裏合わせをし証拠隠滅工作をしたと、言いつのり、証拠隠滅のおそれありとして、私を保釈させようとしなかったし、私を断罪する際にも、度々引用した。

 直ちに嘘が証明されるこのようなことを、どれだけ多く、マルサと検察は捏造したことであろうか。



四、 平成5年11月22日、新本修司より電話があり、会いたいと言ってきた。11月25日午前10時に、松江税務署に行くことを約束。



五、 平成5年11月25日、午前9時50分。

 松江税務署一階の和室に行く。

 前回同様、机と椅子が運び込まれており、藤原孝行と新本修司の二人が待っていた。



六、 藤原:「質問顛末書を書き写すことは、今後は認めないことにした。」

山根:「何故だ?」 

藤原:「犯則嫌疑者に書き写す権利が認められているわけではないし、取り調べにあたる国税当局に、それを書き写させる義務がないからだ。」

山根:「この間は、コピーはできないが、書き写すのならよいと言ったではないか。」

藤原:「だから、これからはそれを改めるということだ。」

山根:「方針変更の理由を聞かせて欲しい。」

藤原:「理由など、山根に言う必要はない。」

― 問答無用ということか。よらしむべし、知らしむべからず、お上の言うことには、文句を言わずに黙って従えということか。



山根:「もともと、私が、質問顛末書を書き写すことを申し出たのは、尋問にあたって、脅したり、すかしたりして、事実をねじ曲げ、自分達で勝手につくりあげたストーリーに沿うように調書をとっている事実があったからではないか。

 こちらの言ったことで、架空のストーリーに合致しないことは、書かずに省略した事実があったからではないか。こんなものが、任意の供述調書であるものか。

 国税のデッチあげから私を守るために、必要だからこそ、厳密にチェックして間違いを訂正してもらい、その内容を書き写して、こちらに保管するということで、お互いに了解したことではないか。」 

藤原:「私も人の子だ。デッチあげなどと、二度と言わないでもらいたい。」

山根:「君達がやり方を変えなければ、何度でも言うつもりだ。」



七、 藤原、席を外す。広島にいる上司の大木に、電話をかけにいった模様。



八、 藤原、帰ってくる。

藤原:「一つ、提案がある。山根の方で、ことの経緯を上申書の形で詳しく書いてくれないか。それを我々が見て、疑問の点とか、不足していることがあれば、質問するということにしたらどうか。」

山根:「それは願ってもないことだ。了解。あなた方に事実をねじ曲げて書かれる必要がなくなるわけだ。私が自分の文章で、責任をもって書くことにする。」

藤原:「その上申書の形式だが、宛名は私にして欲しい。書き出しは、『貴局からご質問がありました、組合と陸中物産との土地売買の経緯について、説明いたします。』としてください。」

山根:「・・・・」

― 上申書?貴局?何故、そんな言葉を使わなければならないのか。お上意識丸出し。憲法で公務員は、国民全体の奉仕者であるとされていることを知らないようだ。

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