空海と虫麻呂 -その1
- 2004.04.27
- 山根治blog
上野の東京国立博物館で空海の特別展を見てきました。三筆と称される空海の真筆は私に深い感動を与えてくれました。
中でも、空海24才の時の書、『聾瞽指帰(ろうこしいき)』は、若い学僧の手になる雄渾な書風であり、拡大グラスを通して青年空海の鼓動が直接に伝わってくる思いでした。
自宅に帰っても興奮さめやらず、『聾瞽指帰』の別本とされている『三教指帰(さんごうしいき)』(岩波書店:日本古典文学体系所収)を読むことにしました。
驚きましたね。空海が能筆家であることは、”弘法も筆の誤り”という諺にあるように、子供の頃から知っていましたが、これほど達意な文章を、しかも24才という若さで作り上げていることは全く知りませんでした。
無学を恥じるのみです。
漢文における美文の代名詞とされている四六駢儷体(しろくべんれいたい)の文章は、流麗にして典雅であり、中国の古典等のエピソードをふんだんに取り入れたもので、立派な文学作品の域に達しているものとされています。
いささか漢詩文の素養に欠ける私には、岩波の体系本による懇切丁寧な注釈の助けがなければ、文意を辿ることさえできなかったでしょう。校注者である渡辺照宏、宮坂宥勝の両氏に敬意をこめて謝意を表したいと思います。
空海と高野山 弘法大師入唐1200年記念(2004年4月6日~5月16日)
http://www.nhk-p.co.jp/tenran/kukai/
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